【巨大昆虫vs人間！
戦争への嘲笑に満ちた残酷絵巻...】
「スターシップ・トゥルーパーズ」（1997年）
ユートピア社会が形成された
未来の地球連邦は、兵役につかなければ
市民とは認められない軍部主導の
社会であった。
宇宙植民をはじめた
人類の前に、昆虫方宇宙生物
（アラクニッド）の群れが立ちふさがる。
ジョニー・リコ（キャスパー・ヴァン・
ディーン）ら国家への忠誠に燃える
若者たちは、激しい戦いの中で宇宙の
戦士として成長していく...。
SF小説の金字塔ロバート・
ハインラインの『宇宙の戦士』。
ハヤカワSF文庫の加藤直之の描くパワード
スーツに心躍ったものだ。
映画化にあたり、
ポール・ヴァーホーヴェン
監督の下した決断は...？
なんとキモであるパワードスーツの廃止！
敵である兵隊アリ的な役割の
ウォーリアバグや、飛行バグの四肢は
刃物状になっており、そこに人間が
剥き出しで、特攻すれば切断されて”切り株”が
多数製造されてしまうのは自明の理。
本作は「R指定」を受けてしまい、チビっ子が
観ることは難しくなってしまい、
玩具展開は大失敗に終わった。
また本作、映画のオープニングから
政府のプロパガンダフィルムが
要所要所にカットインしてくる。
この「劇中のメディア映像からによって
どんな世界観かを手っ取り早く説明する」
と言う手法は、ヴァーホーヴェンの
良く使う手であり、全体主義の
恐ろしさとバカバカしさが一撃で伝わる。
このプロパガンダフィルム群は、
彼がかつて、オランダで撮った軍の
プロモーションフィルムに酷似している。
敵は、恐ろしい外見をした昆虫型
エイリアンではあるが、人間の文明に
興味を持ち、脳から情報を吸い出そう
と試みる。
しかし、人間の方は、
「虫どもを●せ！」と叫ぶ気配もない。
まったく対話する気配もない。せっかく
虫の心も読めるエスパーが
いるのに！
作戦も人間は暗闇に特攻して
全滅てなアホっぷりで、地球に
対し小惑星を突入させる作戦を取る
バグ側の方がよっぽど知的に見え、
どっちが野蛮だか判らない。
また、劇中のTVCMでは、怒りオヤジが
「いい虫は●んだ虫だけだ...」と叫ぶ。
この言葉は、「いいインディアンは
●んだインディアンだけだ」という
西部開拓時代の暴言が元になっており、
明らかにアメリカの戦争観を揶揄し
まくっている...。
よくこれをハリウッドで、アメリカで
撮ったものである。ス●リップ
業界のドロドロした最●人間模様を
描ききった前作『ショーガール』と
本作の2本で、ヴァーンホーヴェンは
ショービジネスと戦争という
アメリカ文化の本質を暴き、笑い飛ばして
いるのだ。
「原作は退屈だから途中で
読むのを止めたよ」と、うそぶく
ヴァーホーヴェン恐るべし！
ブラックユーモアに満ちた
SF戦争映画の傑作である。
続編『～2』では、バグの
デザインやCGを担当したフィル・ティペット
がメガホンをとり、アラモ砦的な
攻防戦に特化した続編。
しかし、『1』の
脚本家のエド・ニューマイヤーが
メガホンをとった『～3』では、
パワードスーツがついに開発され、
ますます盛り上がるかと思ったら、
「バグどもにはなくて我々にはあるもの
...それは信仰だ！」と、いきなりの
方向転換。
出てくるパワードスーツも
黙示録の天使のごとく7体。
そのバックにあがる信号弾も十字架形...。
「あ～あ、そんなの『1』では
ひとつも言ってなかったじゃない！？
大体調べてもないのに、虫の信仰の
有無とか（以下略）と、呆れも
ひとしおなのでありました。
まぁこれも、
ひとつの正しい続編のあり方なのかも
しれないが...。
（多田）
備考：この内容は、
2012-8-21
発行：洋泉社
「～異次元SF映画100～」
より紹介しました。
続編[編集]
2003年にはティペットの初監督作品となる続編『スターシップ・トゥルーパーズ2』が作られているが、こちらは軍の指導者をわかりやすい悪辣な存在として描いた、シンプルな反戦的脚本になっている。
2006年5月、第3弾の製作の可能性が発表された。また1作目で主演を務めたキャスパー・ヴァン・ディーンは、自身のオフィシャルサイトで同企画に関わっていることを明かした。
『スターシップ・トゥルーパーズ3』は2008年7月19日に日本で、同年8月5日にアメリカで劇場公開された。前2作で脚本を務めたエド・ニューマイヤーの初監督作であり、一作目の監督だったポール・バーホーベンが製作総指揮として携わっている。
2012年7月、荒牧伸志監督による第4作『スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン』が劇場公開された。本作は日本のCGスタジオ（SOLA DIGITAL ARTS）が制作したフルCG作品であり、主要スタッフを日本人が務めている。
2018年2月、第4作に引き続きフルCGとなる第5作『スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット（英語版）』が公開された[6]。
2022年6月17日、ゲーム化作品『Starship Troopers - Terran Command』がSteam（PC）向けに発売した（当初は2020年以内を予定していたが発売延期した）[7]。ジャンルはリアルタイムストラテジー（RTS）。
備考：この内容は、
2024-2-15
ウィキペディア
フリー百科事典
より紹介しました。