「葬送のカーネーション」
2024-1-12 公開
(映画評論家・土屋好生)
●き妻を、故国で埋葬するため
棺とともに旅する
難民祖父と孫の姿を
無駄のない描写で捉える。
ここでは、ドラマチックな物語が展開する
わけでもなければ、個人的な
内面を、吐露するわけでもない。
描写は、極力無駄を省き、
せりふも削りに削って、●き妻の故国での
埋葬への強い思いに肉薄しようとする。
国境を超え、一刻も早く故国へ
たどり着くために。
それにしても、妻の遺言通りに、簡素な
棺を引きずって旅を続ける年老いた難民の
強い意思には、驚嘆するしかない。
ある時は、老骨にムチ打って、
背中に重い棺を背負い込み、
またある時は、心象風景を映し出すような
絵を描く無口な孫娘に支えられて。
まるで十字架を連想させるキ●ストのような
難行苦行の道行きを、
思わせる2人を捉えるカメラも、
心なしか、涙に暮れているようで、
その棺の重みが、こちらにずしりと、
のしかかってくるようだ...。
●者と生者が、棺を通して
交流し、お互いに関係を深めて語り合うのだ。
この何とも奇妙な味わいは、中東トルコ特有の
ものなのか?
あるいは、新鋭監督の
ベキル・ビュルビュルの持ち味なのか?
現実と幻想が交錯する寓話のような世界は、
どこまで行っても、ただただ美しい...。
備考:この内容は、
令和6-1-21
発行:近代映画社
「SCREEN」
より紹介しました。
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