【XXプログラム初の
公道走行可能モデル爆誕
至高にして最速!】
F1マシンの名を冠した最速最恐モデルに
聖地「フィオラノサーキット」で、試乗!
1,000馬力超えたが、「荒馬」ではない!
フェラーリのメッカで
あるイタリアのフィラオの
サーキット。ここで、
「オーバー1,000馬力のウルトラ・
スーパーカーに乗らないか?」
と、お誘いがあった。
オーバー1,000馬力は数年前に
最高速チャレンジに参加した
ブカッティのテストドライブ
以来のこと。
単純に考えると
お馬さんが、1,000頭も
ドライバーの背中に格納されて
いるわけだ。
「走る彫刻」と
言われるデザイン、美しい...
今回、テストしたのは、
フェラーリ史上最速の「SF90XX
Stradale」。
実はこの名前の由来が興味を引く。
「SF90」は、2019年のF1マシンの
モデル名だし、「XX」は
フェラーリで、レースに参加したり、
サーキットを楽しむ
ハイエンドなユーザーのサポート
プログラムのこと。
で、最後の
「Stradale」は、公道を
意味する。要約すると、F1の
DNAを持ち
サーキットを
楽しむために開発され
公道も
走れるフェラーリ史上最速の
マシン、となる。
「F1で鍛え抜かれたスクーデリア・フェラーリの
独自技術が惜しみなく投入されたコクピット...」
そんな、ヨダレが出るような
公道を走る最速のフェラーリに
乗れるなんて、俺は幸せ者
だと思っていたが、実は
プレッシャーも感じていた。
なにしろ、初めてのコースで、
1,000馬力超のスーパーカー。
だが、リアスポイラーにトンボが
とまるような走りでは、
日本選抜として恥ずかしい。
荒馬に蹴られないよう、集中
して攻めると言い聞かせた。
エンジンは、4L、V8
ターボ、単体で約800馬力を
絞り出す。実は、このマシンは
プラグインハイブリッド
(PHEV)なので、エコカーとも
言えそうだが、V8ターボが
主役であることに変わりない。
1つのモーターは
エンジンとギアボックスの間に
搭載され、さらにフロント
アクスルの左右には独立した
2つのモーターが配置されている。
その結果、モーターの
最高出力は233馬力に達するので、
エンジンと合算すると、
1,030馬力となるわけだ。
合計3つのモーターには
リチウムイオンバッテリーから
電力が供給され、EVモードで、
25km走ることができ、
これなら、ご近所から「うるさい!」と、
文句は言われない。ちなみに
EV走行の最高速度は
135km/h。
【いざ試乗!まるでロケットのような加速!】
さすがに、濡れた朝の走行は、
タイヤも冷えているし、
マシンへの慣れもないので、
ビビリながら慎重に走った。
それでも、ついオーバー
1,000馬力を試したくてスロットルを
床まで踏み込む。すると、
ドライバーの背中が800
馬力のV8ターボが目を覚ます。
「さまざまな走行モードを
ステアリングでコントロールする。
究極の走行ユニットを、電子で緻密に制御...」
強烈な加速Gが発生し、
背中を、グイグイと押される。
まるで、ロケットに、またがった
ような気分だった
(またがったことはないが...)
路面温度が上昇し、タイヤのグリップ力
(ステアリングで感じる
接地感)も高まってきた。
午後のセッションは、
ホットラップ。ここでは、走行データを
取得し、プロドライバーとの
違いをクリニックしてくれる。
先導車をカーチェイスする形で、
ホットラップが始まった。
1,030馬力を使いこなすには、
ブレーキが重要だ。
助かったのはABS、”EVO”
と呼ばれる進化したABS。
カーコンポジットの
ブレンボブレーキの効きは、強烈だが、
問題は車体がどこまで
安定しているのが、テストデイの
ように半乾きの路面では
左右のタイヤは異なる路面状況に
接地しているので、マシンの
安定性が気になる。
「0~100km/h加速はわずか2.3秒。スポーツ
走行の究極的なユニットはPHEVかもしれない...
と思わせる」
しかし、ダウンフォースと進化した
ブレーキシステムのおかげで、
やばいシーンはなかった。
F1で鍛えた空力はおしみなく
採用され、近年のフェラーリ
としては珍しい大型
リアウィングが備わっている。
その結果、250km/hで
530kgという強烈なダウンフォースを
発生する。タイヤが
温まったことを確認してから、
コーナーを攻めた。
時速200kmで進入するコーナーでは、
ステアリングがずっしり
重くなり、タイヤが路面と
しっかりコンタクトしているのが、
感じられた。
だが、100km/h
くらいではダウンフォースが
減るので、ステアリングが
やや軽くなるが、挙動は電子制御が
見守っている。
走行モードは「RACE」
にセットし、ステアリング
ホイールの左にある「eマネッティーノ・
セレクター」は、
「エクストラ・モーターブーストモード」
を試す。
「伝統のミッドシップユニット。4L、V8エンジンの咆哮は、
感動と、心地よさを連れてくる、まさに”至高”...」
他には、「ハイブリッドモード」や
「EVモード」もある。
「ブーストモード」は、
タイトコーナーの立ち上がりは、
効果的だった。理論的には、
モータートルクが加速をアシスト
しているが、体感する加速Gの
どの加速がモーターなのかは
判別できない。ただ、データー
分析では確実に立ち上がりの
スピードが増していった。
【「ただ、速いだけ」でない実力...】
「SF90XX Stradale」は、荒馬かと
思っていたのだが、テクノロジーに
よって史上最速のサラブレッドに
生まれて変わっていたことが
確認できた。最後にファラーリが
目指すスポーツカーは、
無味乾燥な ただ速いだけの
マシンではなく、ドライバーが
感動できるパッション(情熱)
クリエイターなのだと思った...。
備考:この内容は、
2024-1-10
発行:講談社
「ベストカー」
より紹介しました。