未知のときめきが、体を駆け上がって
いく、この瞬間を、爽快に描いた
「サマータイム シンデレラ」
に続く、緑黄色社会の新曲
「花になって」は、美しさと毒っぽさが
万華鏡的に、織りなされるスリリングで、
アグレッシブな1曲となった。
10月から放送中のTVアニメ
「薬屋のひとりごと」のオープニング・テーマ
として描き下ろされた曲だが、
アニメの第1期のオープニング
ということで、さらに力が入った
と語るのは、作曲を手掛けた穴見。
穴見> アニメの世界観と合っているのはもちろん、
中毒性やキャッチーさも
踏まえながら。緑黄色社会が
持つかっこいい面を存分に出せたらと
思っていたんです。
かっこよくて
鋭くて毒っぽい、そういうものを
ひたむきに作りました。
長屋> BPMも速くて激しい曲に
聴こえるんですけど、実は、とても
優雅な曲で、歌でも、その優雅さを
出せたらと思っていました。
穴見> アニメの舞台が、大陸のとある国
ということなので、イメージ
としては
空からドローンで、景色を
観るような、広い景観を撮る
ような、広い景観を思い浮かべ
ながら作りました。
...イントロのドラムビートから
その大陸的な、おおらかさが体感できる。
さらに、ピアノやシンセなど
様々な音色の鍵盤や、ノイジーな
ギターがエキゾチックな色合いを
つけ、中華系の楽器の音色も織り
混ぜられた。
歌謡曲的なキャッチーさが
ありながら、モザイク的で
プログレッシブなサウンドが異国の
雰囲気を醸し出しているのが新鮮だ。
peppe> 鍵盤は、とにかく最後の一音まで
気が抜けないというところが
ありますね。
全力で走って終わると
いうか、レコーディングのときも、
弾き終わって、は~...って
ようやく息をつけるみたいな。
弾いている間、息が止まっていたくらいの
緊迫感がありました。
小林> ギターは騒々しいんですが、
聴感よりはシンプルなんですよ。
ただ、今回は、「スウィーブ奏法」という
テクニックが入っていて、それは僕も
未開の地だったので、練習しましたね(笑)。
なので、みんなも、ぜひ
コピーしてみてほしいです。
歌のテーマは”自己愛”。
長屋> もともと、原作のファンだった
こともあって、キャラクターと
照らし合わせながら、歌詞を書きました。
主人公の猫猫(マオマオ)はよく
いる ”明るくて前向き” という
感じの主人公ではないというか、
その正反対を行く子なんですね。
笑い方も不気味な笑みを浮かべたり
とか、でも私は、むしろそういう
ところが素敵だな、かわいいなと
思って作品を観ていたので、そんな
部分も自己愛というテーマに
落とし込んでいけたらと思って
いたんです。
私自身が、「猫猫」ちゃんタイプで、
物事をほかの人とは違う角度
から観ていたりするところも
あるので(笑)。
自分としては、
書きやすかったですね。
...長屋の、パワフルかつ、表情豊かな
声で、描かれた歌の主人公は、とても
魅力的、アニメはもちろん、リスナー
にとってのテーマ・ソングにも
なってくれそうな1曲だ。
またカップリング曲「夢と悪魔と、
ファンタジー」は、「Mela!」や、
「キャラクター」を作った穴見とpeppeの
コンビで作曲し、ミュージカル的な
シアトリカルさを、ポップスに昇華。
アンサンブルがもたらすワクワク感は、
今後のライブが楽しみになる。
4曲アルバム「pink blue」を携え、
今年5月から、7月まで、
全国ツアーを行った緑黄色社会。
コロナ渦のライブにおける制限が緩和
されて初のツアーとなり、
”これこどがライブ”を、裏テーマに収穫の
多いツアーとなったという。
穴見> ツアーで、しっかり土台ができたし、
今、スタッフも含めてチーム
としてすごくいい感じなんです。
リハや、仕込み段階では、やることが
たくさんあって、毎日大変ですけど、
ライブが始まれば、気持ちをその
1日に持っていくだけっていう
状態になっているんです。
...夏には、念願であった海外公演、
台湾でのライブも実現し、ライブの
熱がより高まっている現在、初の
アリーナ・ツアー「リョクシャ化計画
2023~2024」が、12月15日から
スタートする。
peppe> アリーナには、何度も好きな
アーティストを見に行っているので、
私のなかで、イメージはできて
いるんですが...
そこに向かって
いることに、毎日、ドキドキしています。
自分の中に、指針や目標がある
から、あとは、練習を重ねるだけ
なんですけど、ワクワクと、ドキドキが
ある状態です。
小林> 今までのツアーでも、曲の
アレンジを変えて演奏してきたりして
いるので、そういうところも新しい
雰囲気として感じてもらいたいですね。
あとは僕自身、アリーナとか、
大きな会場でのライブに夢を
もらった人間なので、同じように
子どもたちや、同世代の人たちにも
そういう思いを味わってもらえたら
いいなと思っています。
長屋> 「リョクシャ化計画」という
タイトルは、私たちが、昔から
やってきたライブのタイトルで、
”リョクシャ色に染めていく”
という意味。
初めて「緑黄色社会」を見る人
にも、自分たちのライブの良さを
伝えたいし、アリーナに来たんだ
っていう、あの感覚...
グッズを
買う時間から、電車に乗って帰る時間までを
楽しんでほしいです...。
備考:この内容は、
2023-12-1
発行:セブン・イレブン・ジャパン
「7ぴあ」
より紹介しました。