「森村誠一」”虹への旅券”...その1 | Q太郎のブログ

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パクリもあるけど、多岐にわたって、いい情報もあるので、ぜひ読んでね♥
さかのぼっても読んでみてね♥♥

 

 

 

【異邦へのあこがれ...】

 

 

 

 穂積裕希子は、旅へ出ようと思った。

 

旅へ出たところで、どうせ、何も変わりはしないだろう...。

 

 

 

だが、旅には、別の地平に向けるそこはかとない

 

憧れと、その彼方へ行けば、何かが変わるかも

 

しれないという、淡い期待があった...。

 

 

 

 

 自分のすべてを掛けた愛にやぶれ、心身ともに

 

ズタズタになった今、せめて、その期待が

 

あるというだけでも、大切にしなければならない。

 

 

 

 

 それは、現実からの逃避である。人生を

 

止めない限り、逃避は、束の間にすぎず、結局、また

 

現実へ帰って来なければならない。それは、よくわかって

 

いながら、とにかく、この破れ傷付いた

 

心身を、逃避の中で癒やしたかった...。

 

 

 

 

 穂積裕希子は、23歳のOLである、勤め先は、

 

東京大手町の商事会社である会社の名前は

 

世間に通っている。最近は、ものの買い占めで、

 

悪名のほうが高くなったが、勤め先としては、

 

一流に属する...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女は、短大を卒えてから3年間、この会社に

 

勤めた、彼女の社では、OLの平均勤続期間が

 

2年3ヶ月だから、少し長く勤めすぎたようである。

 

 

 

 

 

 

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 裕希子も入社するとき、いちおう「2年」と

 

考えていた。それが、予定より1年長くなって

 

しまったのだから、もういつ辞めても、

 

未練はなかった。

 

 

 

 

 彼女が、辞意を表したとき、社は、遺留した。

 

もはや、彼女は、欠かせない職場の戦力に

 

なっている。OLの”3年生”ともなると、

 

やや薹(とう)がたつ。

 

”職場の花”としての効用がうすれ、

 

仕事も、一応わかってくるので、男の

 

社員にとって使いにくくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 女性の職場進出が、いちじるしい今日でも、

 

 

 

(あくまでも、これは昭和57年当時の小説の世界です...)

 

 

 

 まだまだOLは、男の”補助社員”としての効用

 

ぐらいしか認められていない。これは、女性の

 

才能や能力に関係なく、企業内に厳として存在する

 

”アパルトヘイト・性別差別”であった...。

 

 

 

 

 しかし、差別をつくりだした責任の一端は、

 

当の女性たちにもあった。彼女らは、最初から一種の

 

社会見学ぐらいのつもりで入社して来る。

 

 

 

 

会社は、学校と結婚をつなぐブリッジとして、将来の

 

夫や恋人を探し当てられたら、もうけものだと、

 

思っている。なかには、それを、本命目的にして

 

いる者もある...。

 

 

 

 

 どだい男の社員とは、入社の心構えが

 

違っている。また学校出たての20歳前後の花の盛り

 

の女性が、最初から恋愛にも結婚にも背を向けて、

 

職場に「骨を埋める」覚悟で入社して

 

来たらおかしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 職場の差別は、男女の心理的、生理的

 

違いにも根ざしていた。

 

 

 

 だから、会社のほうも、最初から男なみの

 

戦力(女性専門の職種は別だが...)を

 

女性に求めていない。

 

 

 

男の補助的な作業能力か、あるいは、

 

職場の花として、うるおいを与えるだけの美しさが、

 

備わっていればよいのである。

 

 

 

 

 

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 OLが、会社への居心地に慣れて、こけが生える

 

ようになると、まず花としての効用が失われ、

 

(最世からない者もいるが...)、次に古手として

 

男を男とも、思わなくなるから、

 

最高に使いにくくなる...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 男の補助どころか、自分がイニシャティブを取って、

 

男を顎で使うようになれば、これは、もはや

 

OLではなく、”中世的女類”である。女性でも

 

戦力になればよいが、仕事がわかるだけで、

 

職場の”女大久保彦左”のようになるのが、

 

いちばん扱いにくい。

 

 

 

 

 

 会社も、そのへんのところをよく心得ていて、

 

OLがこのように中性化する前に、新鮮な花と

 

すげ帰るべく、彼女らの短期回転を喜ぶ

 

傾向が強い。

 

 

 

 

 会社が、裕希子を引き止めたのは、彼女がまだ、

 

”花”としての値打ちをとどめて、いただけでは

 

ない。3年の実務で鍛えられた仕事の腕と知識が、

 

生来の聡明さに裏打ちされて職場の重要な戦力と

 

なっているのに対して、女らしい優しい

 

抑制をかけていたからである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 戦力ではあっても、いつも男の後ろ備えとして

 

背後につつましくひかえている。男にして

 

みれば、新入社員のように扱いやすく、しかも、

 

バックをベテランによって強く固められている

 

感じである...。

 

 

 

 まして、女は、美しいというだけで、十分な

 

戦力になる。彼女自身、自分の美しさを意識して

 

いないところも良かった...。

 

 

 

 

 

 

 

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備考:この内容は、

昭和57-1-30

発行:角川書店

著者:森村誠一

「虹への旅券」

より紹介しました。