【僕の奇妙な病気、神様に
お願いして直してもらったよ...】
神様、どうか、僕のお願いを
きいてくれますか?
僕は、病気にかかっています。
どんな病気かと言うと、パパもママも、
病院のお医者さんも、こんな病気は
見たことがない、不思議だ、不思議だって
言う病気です。
僕の体、おかしくなっちゃったんです。
この病気に、かかったのは、
4歳のときからです。
幼稚園で、アキオくんていう子と
ケンカして。
アキオくんが、僕の
ゲームボーイを壊しちゃったから。それで、
すごく泣いて。次の日に、僕は、
病気になりました。
その時から、僕は1人ぼっちにです。
だって、パパもママも、おばあちゃんも、
妹のミカも、看護師さんも、
そばに来ると、
怖いんです、僕は、息が苦しく
なって。●にそうになります。うまく
言えないけれど、空気がなくなっちゃう
ような感じです。
パパは、僕の心が悪いからだって言って、
僕を、捕まえようとしました。
でも、僕は苦しくて気絶して
しまいました。それで、病院に運ばれて、
酸素マスクをして、やっと、助かりました...。
それからは、みんなは、僕の周りを、
1m以上、離れてるように
なりました。1mよりも、近づくと、
僕は、●んじゃうかもしれないんです。
だから、僕は、4歳のときから、電車にも
乗っていません。外には、一歩も出られないんです。
お友達とも話せないし、誰も来ません。
パパやママと、お話するのも、
部屋にある電話のほうが、多いです。
でも、僕は、もう8歳になるんです。
これからも、ずっと病院で、暮らさないと
いけないのですが、神様、どうか、
僕の願いを聞いてください、僕を、
苦しくさせないでください。
あっ! 神様なの? 声が、遅れて聞こえてくるよ。
ええっ! 本当に、大丈夫なの?
もう直ったの? もう、苦しくならないの?
ほんとかな? えっ、 信じなさいって!
じゃあ、僕、信じる。
これから、看護師さんが、着替えを持ってくるの、
だから、僕、近づいてみる。
ねぇ、看護師さん。僕、直ったんだよ。
もう、●なないよ。だって、神様が
直してくれたんだもの...。
ほら、1mよりも近いよ、ほら、
苦しくないよ。あれ! 看護師さん、
どうしたの? 苦しそうだよ! あっ!
倒れちゃった!
大丈夫? 僕は、
平気だよ。
あれ? 看護師さん、
動かなくなっちゃった...!
備考:この内容は、
1995-8-5
発行:KKベストセラーズ
著者:滝口千恵
「コドモの読めない童話
怪談50連発」
より紹介しました。