「跳躍は、命に関わる」
ジャンプするのは、さらに危ない。
マジンガーZの、ジャンプ力は20mだ。ある
高さまで飛び上がると、着地するときには、
その高さから、落下したのと同じ衝撃を
受ける。
ロボットのスケールで見ていると、
身長より、わずかに高く飛び上がる
だけで、たいしたことはないように
感じられるが、中の人間も、同じ動きをして
いることを、忘れられてはならない。
「エヴァ さぁ~びすぅ さぁ~びすぅ...」
椅子に座ったまま 20mの高さから
落とされて、人間というのは、大丈夫なもの
だろうか?
甲博士は、ちゃんと実験したのか?
着地速度は、秒速20m=時速71km
にもなるのだが...。
操縦者が受ける衝撃力を、計算して
みよう。感覚的にも、わかるとおり、衝撃は、
思い物体が、短時間に、大きな運動変化を
するほど大きい。
操縦者:兜甲児の体重は、推定70kg。
着地速度も、すでに求めた。
着地後は、速度がZEROに
なるのだから、速度変化は、着地
速度に等しい秒速20mである。
問題は、着地時間だ。
これは、着地の仕方によって、
相当違ってくる。ヒザや腰を曲げて、頭の
部分から 5m 沈むくらい柔らかく着地すれば、
着地時間は 0.5秒であり、衝撃力は
280kg になる...。
「アバターも えくぼ」
ところが、アニメの画面を見ると、
マジンガーZは、ほとんど、直立したまま着地
している。関節部には、衝撃を和らげる
サスペンションが、付けられていて、着地と、
同時に、これが、一斉に縮んだとすると、
この体勢でも、衝撃を和らげられるが、着地
のたびに、1mも、2mも、縮んでいる様子はない。
しかし、まったく縮まなければ、
人間が、ヒザを伸ばしまま、着地するのと同じで、
ショックを吸収できず、粉々に
砕けてしまう。よって、ここでは、縮みが、
20mだと仮定しよう...。
すると、吸収時間は、0.02秒、
衝撃力は、7t になる。ところが、これは、平均の
力であって、瞬間的には、もっと大きな
力がかかる。
「機械戦隊のコクピットは、意外と広い」
サスペンションの弾力だけに、
頼っていたのでは、操縦者に超人的な
筋力が無い限り、操縦者に顔面を叩き
つけられ、頭蓋骨陥没骨折を起こすか、
つきたてのおモチを、叩きつけたように、
椅子に、へばりつくことになるだろう。
もう、絶対に、おだぶつだ...。
備考:この内容は、
2018-11-30
発行:(株)KADOKAWA
著者:柳田理科雄
「空想科学読本 1」
より紹介しました。