未体験の海底へ、
「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」
前作『アバター』でスターダムへ駆け上がったサム・ワーシントン。
13年を経て公開される続編について、
自身の変化とともに、語ってくれました...。
・・・ジェームス・キャメロンは、
続編の話をあなたにどのように持ちかけて
きたのでしょうか?
サム> 彼は、マリアナ海溝への旅から帰って
きて、僕に電話をくれ、物語を教えて
くれた。そういう形だった。
続編を1つ作るとか、
2つ作るとか、そんな話は出ずに、
『アバター』を、どう続けたい
のか、ジェイクやパンドラをどこに
持って生きたいのかを語ってくれ
たんだ。
それは、すごい長電話となった。
彼が、とてもしっかりしたアイデアを持って
いることは、明確に感じられたね。
・・・1作目から10年以上経過しましたよ。
この間に、たくさんのことが変化して
いますが、以前のジェイクよりも今回の
ジェイクに共感しましたか?
サム> ジム(ジェームス・キャメロン)が
描いたジェイクの ”短期で反抗的な兵士”
という気質は、今も健在なんだ。本作を
撮影したとき、僕は幼い子の父親。
一方で、劇中のジェイクは、ティーンエイジャーの
子どもたちがいる。だから、
赤ん坊ではなく、ティーンエイジャーには、
どのように話をするかを、ジムに
教えてもらった。でも、家族を守るという
感覚は確実に共通しているね。愛する
ものや家族を守ること。それがこの
映画のテーマだ。
・・・久しぶりにジェイクに戻って
いたわけですが、簡単でしたか?
サム> ジェイクが、どう変化したのか?僕は、
ジムに聞いた。『アバター』1作目と、
『ウェイ・オブ・ウォーター』の間に、
ジェイクに何が起こったのか?を、僕らは
話し合ったんだ。ジムは、その間についての
脚本を書いて、僕にくれたんだよ。
『アバター1.5』の脚本だ。そこには
ジェイクが、その間の時間を、どう生きて
いたのか、たっぷりの情報があった。
(観客は)誰も観ることができない
けどね。
いや、『ウェイ・オブ・ウォーター』に、
ちょっとだけ関係することが
出てくると思う。とにかく、それが
すごく助けになったんだ。
・・・前作は、映画史上最高記録となって
いますが、そのことが、あなたの人生と
仕事にどういう影響を与えましたか?
サム> 僕の人生は180度変わった。俳優なら
誰でも、自分が出演している映画を
みんなに観て欲しいと思うものだけど、
『アバター』は、世界中の人が観てくれた。
正直なところ少し引いた。
世界中のどの国を歩いても、アノ映画に
感動した人が、「ああ、あの車椅子から
青い生き物になった人だね~」と、話しかけて
くる。とても感動する。仕事も選択肢が
増えて自由度が増した。素晴らしい
ことだ。だけで、少し圧倒されてもいる。
正直言うと、今でもそうなんだ。でも
それをなんとか しなやかに乗り越えて
行くようにしているよ。
・・・あなたは、サーフィンが得意との
ことですが、本作では肉体的には、どれくらい
追い込まれましたか?
サム> 僕のこれまでの映画撮影で最も過酷
だった。最初にフリーダイビングの技術を
習わなければならないし、水中の
シーン(の撮影)で、それをやらなければ
ならない。とても複雑な工程だ。
呼吸も、時間をかけて、完全に落ち着いた
状態に、完全な瞑想のように見える
ようにするんだ。たくさんの酸素を体内に
取り入れて、すべての CO2を
吐き出してね。すべての血液細胞を 酸素で
いっぱいにして溺れないようにする
ために。それから水中30フィート
(約9.1m)に潜る。できるだけ穏やかにね。
それからようやく水中のシーンが
撮れるんだ...。
・・・ケイト・ウィンスレットとの
お仕事はいかがでしたか? あなたとの共演
シーンはあるのでしょうか?
ワーシントン> ああ、同じシーンで
共演したよ。彼女は、海の部族のリーダーを演じる。僕らは
安全な場所を求めていて、彼女の
部族がいるところにたどり着く。最初、
僕らは歓迎されない。ジェイク・サリーは、
行くところに、いつもトラブルを
持ち込むからね。
僕らは、この静かな
コミュニティにたどりつくが、ケイトと、
クリフ・カーティスが演じる彼女の
パートナーは、僕らにいてほしくないと
思う。僕もトラブルを持ち込むし、
僕の子どもも同様だから、ケイトは、最も
才能のある役者の1人。彼女のおかげで、
シーンは、より素晴らしいものになった...。
・・・最後に本作で観客に特に楽しみ
にして欲しいところ、注目して欲しい
ところを教えて下さい?
ワーシントン> 壮大なシーンだね。
ジムは、皆さんがまだ観ていない
パンドラの別の場所に、連れて行ってくれる。
彼は、海に情熱を持っているから、
この夢のような”アビス(深淵)”に観客を連れていくことに
多くの時間を費やしている。
新しい生き物や、登場人物たちも目にできるよ。
そして、ジムが、常々、僕に言っていたことは、
「これは家族を築く様子を描く
ラブストーリーなんだ」ということ。
それをうまく描けなければ、この世界の
壮大さも意味がないんだ...。
備考:この内容は、
令和4-11-21
発行:近代映画社
「screen 2023-1月号」
より紹介しました。