布施英利「君は”最後の晩餐”を知っているか」...その3(最終回) | Q太郎のブログ

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パクリもあるけど、多岐にわたって、いい情報もあるので、ぜひ読んでね♥
さかのぼっても読んでみてね♥♥

最後の晩餐遠近法 に対する画像結果

 

 

 

 遠近法には、さらに別の効果もある。壁のタピスリーや

 

天井の格子など、奥に向かって狭まっていく線を、

 

延ばしていくと、その線は1つの点に集まる。これを遠近法の

 

消失点というが、なんと、その点の位置が、キリストの

 

額なのだ。これにより、絵を見ると人の視線は自然と

 

キリストに集まっていく。

 

 

 

 

 この絵の主人公は、キリスト。

 

誰が見ても、そう思わせる効果がある。遠近法という

 

絵画の技法が、そこに描かれた人物たちの物語を、ドラマ

 

チックに演出している。これは、描かれた絵が偶然

 

そうなったということではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

最後の晩餐おもしろ に対する画像結果

 

「運動おしゃれまとめの人気アイディア」

 

 

 

 レオナルドは、明らかに計算をして、

 

この絵を描いたのだ。その証拠に、キリストの

 

右のこめかみには、くぎのANAの跡がある。このくぎから

 

糸を張って、あちこちに延ばし、画面の構図を決めて

 

言ったのだ。まるで設計図のような絵とも言える。

 

 

 

 

 また、レオナルドは、光の効果も緻密に計算していた。

 

描かれた部屋の白い壁を見ると、右側には光が当たり、

 

左側は影になっている。この壁画は、食堂の壁に描かれて

 

いるが、描かれた部屋の明暗は、食堂の窓から差し込む

 

現実の光の方向と合致している。そのため、壁に描かれた

 

部屋は、あたかも本物の食堂の延長にあるように

 

すら見える・・・。

 

 

 

 

 このように、遠近法や光の明暗の効果を合わせて

 

用いることで、絵に描かれているのが本物の部屋である

 

ように見えている。だから、かつての修道士たちのように、

 

こんな部屋で食事をしたら、まるでキリストたちと

 

一緒に晩餐をしているような気持ちになるに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

最後の晩餐おもしろ に対する画像結果

 

「最後の晩餐・パロディ」

 

 

 

 解剖学、遠近法、明暗法。そのような絵画の科学が、

 

それまで誰も描かなかった新しい絵を生み出した。

 

レオナルドが究めた絵画の科学と、そのあらゆる可能性を

 

目の当たりに出来ること。これが、「最後の晩餐」を

 

「かっこいい」と思わせる1つの要因だろう。

 

 

 

 

 

 ただ、残念なことに、この絵は描かれてから500年も経って、今では絵の具が剥げ落ち、

 

ぼろぼろになってしまった。そこで、絵の修復が行われた。

 

 

 

 「最後の晩餐」の修復が終了したのは、1999年5月のことだ。それまで、カビやほこりで

 

薄汚れて、暗い印象のあった絵から、鮮やかな色彩が蘇った。しかし、絵の細かい

 

ところはわからない。レオナルドが描いた細部は、すでに、剥がれ落ちて、消えてなくなっていた。

 

修復の作業は、あくまで汚れを落とすことと、現状の絵をそのままに、保護することだけだ。

 

だから修復された絵には、もう細かい描写はない。今、私たちが見ることが出来るのは、

 

そんな「最後の晩餐」である。

 

 

 

 

 ところが、実際に修復を終えた「最後の晩餐」の前に立って、その絵を眺めると、文句が

 

ないほどに魅力的なのだ。確かに細部は落ちて、消えてなくなっている。しかし、そのために

 

かえって、絵の「全体」がよく見えるようになった。人物の輪郭が作る形。その連なり。絵の

 

構図が持っている画家の意図。つまり、レオナルドが、絵画の科学を駆使して表現しようとした

 

ものが、とてもよく見えてくる。だから、いきなり「かっこいい。」と思えるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

最後の晩餐おもしろ に対する画像結果

 

「最初の晩餐・AJINOMOTO」

 

 

 

 

 逆に、絵が完成したばかりのころ、それを見た人たちは、細部の描き込みのすごさに息を

 

のんで、感嘆したのかもしれない。しかし、そういうものに目を奪われて、この絵が持っている

 

本当の魅力が「見えなかった」。そんなことがあったのではないか? そして細部が、はげ落ち、

 

ぼんやりした形の連なりだけが残った。修復は、そのような「全体」をより明快に見える

 

ようにした。だとしたら、本当の「最後の晩餐」は、21世紀の私たちが、初めて見たのかも

 

しれない。レオナルドが描きたかったのは「それ」なのだ。

 

 

 

 「最後の晩餐」は、建物の壁に描かれている。だから、レオナルドが暮らし、この絵を

 

描いたミラノの町でしか見ることができない。君もいつか、イタリアを旅して、この絵を自分の

 

目で見てほしい。500年も昔に描かれた名画は、21世紀の今も生きている。

 

 

 

芸術は、永遠なのだ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

備考:この内容は、

平成27-2-5

発行:光村図書出版

著者:布施英利

「国語 2」

より紹介しました。