【安全に飛ぶ方法】
では、どうすれば、ウルトマンたちは
自らの身をほろぼすことなく、それぞれの
速度で、安全に飛べるのだろうか?
当然、体型を変えなければ無理である。
しかし、第1部で見てきたように、
彼らは変身したり、巨大化やミクロ化も
できる。自分の体を、飛行にふさわしい形に
変えるぐらい朝飯前だと強引に考えて、
具体的な体型を探りたい。
両手を広げての飛行が厳禁だという
のは、すでに、ウルトラセブンがその身を
犠牲にして教えてくれた。とはいえ、
ウルトラマンのように、両手の先をくっつけて
飛べば、それで充分ともいい切れない。
この場合、指の先端から、それぞれに衝撃波が
発生し、指の股から裂けてしまうことことも
考えられるからだ。
体型を変えるなら、まず指を廃し、次に両手を円錐を縦に割ったような形に
する。頭部も邪魔なので、これも同様の形に変えてしまう。つまり、両腕と頭部を
合わせたときに、先端角に収まる円錐を形作るようにするのである。
さらに、円錐の内部に収まっている下半身も現状では危ない。音波とはエネルギーの
流れであって、空気そのものが外側に移動するわけでは無いので、衝撃波の
内部にも外部の後方に渦が出来て、ブレーキの役割を果たし、同時に、その部分から
新たな衝撃波が発生する危険があります。尻の割れ目、かかとなど、できれば
ないほうがいい。両足を閉じた時、なめらかな流線型を描く下半身が理想である。
こうして、ウルトラ諸君の正しい飛行体型が浮かび上がってきた。実に
気色悪いカッコウだ。地球の平和を守るためにわざわざ遠い星からやってきた
ボランティアの方々に対して、まことに申し訳ないが、地球の待機中をマッハ
いくつで飛び回るには、これで、我慢していただくほかないのである。因果な星に
来たと思って、諦めて頂きたい・・・。
備考:この内容は、
2018-11-30
発行:(株)KADOKAWA
著者:柳田理科雄
「空想科学読本 1」
より紹介しました。