「ナイトライダーの真似してこける」 ドリム 26歳 男
小学生の頃、「ナイトライダー」に、あこがれていた。
正確に言うと。”ナイト2000”
っていう車に・・・。
その”ナイト2000”が、犯人を追いかけるために、出動するシーンが
あるんだけど、
修理工場も兼ねて走行中の、巨大トレーラーの後ろ扉がウィーンと、
重々しく開くと、
バックしながら”ナイト2000”が出てきて、地面に降りたったとき、
”キュキュッ”とタイヤを鳴らしつつ、一気に加速して、
そのトレーラーを抜き去って行くわけ。
これが、カッコ良かった・・・。
そんなある日、友達と、チャリンコの2人乗りをしてたのよ。
僕が後ろに乗って。
荷台がないので、ステップに足を載せて、友達の肩 持って立ち乗り。
それで、ちょうど下り坂に差し掛かって、
いよいよスピードが、のってきたなぁってところに
”ナイト2000”の登場シーンを思い出したわけ・・・。
もう気分は、友達の操るチャリンコが、巨大トレーラーで、僕が”ナイト2000”。
もしかしたら、俺が、今、ピャッと、飛び降りて地面に降りたら、
軽快にスタタタタッと、走って、コイツの乗っている
チャリンコ抜いてったら、カッコええよなぁ~
なんて思ちゃった。
僕> ”ナイト2000”の登場シーンしたるわ!
友> えっ!? マジで・・・いけんのか?
僕> 多分いけるで。おもっくそ走るときより、
少し手の振りを速くしたら
いけると思うんや。
友> ふ~ん。なるほどなぁ
僕もアホだが、「なるほどなぁ」と即、
納得する友達も 友達である。
下を見たらダメだ。前を向いて飛ぼう。
こう決めて、いざ後方へダイブ。
スカイダイバー気分。
ビャッ!(忍者みたいに、カッコよく飛べたぞ。ヨシッ!)
バンッ!(地面にも、無事着地成功。カッコ良すぎ、オレ!)
さぁ、発進だ! 行くぞ!!
と、2、3歩 踏み出したところで、
スピードに、ついていけるはずもなく、見事転倒。
気持ちいいくらいの ヘッドスライディング!
他人であれば・・・。
額や、手の平、肘や、ヒザなどの、ありとあらゆる
出っ張っているところが、ずるむけ。
○だらけ。
視界に入るのは、自転車に乗った友達の
背中が小さくなってゆく姿のみ・・・。
○ぬかと思った・・・。
備考:この内容は、
2010-12-6
発行:アスペクト
編・著:林雄司
「○ぬかと思った 3」
より紹介しました。