【自分にしかできない書き方で】
「言葉」を探すことが大事
♣読む気にさせる「始めの一行」
どう書くかを、詳細に検討してみよう。
「始めの一行、終わりの一行」
という言葉がある。プロの作家は、始めの
一行と、最後の一行に凝る。
どちらか一方の
こともあるが、そのためには、時間を惜しまない。
「始めの一行」によって、その文章が、読みたくなる
か、どうか決まってしまう。何が起きるのか
期待をもたせたり、さりげない描写で
始まったり、いずれにしても、そこで決まると言って
もいい。
第1作目「バック・トゥー・ザ・フューチャー」
私は、エッセイやラジオ、テレビ番組
の審査をすることが多いが、テレビでも、
最初の場面を見ただけで、ほとんど見当がつく。
面白いか、面白くないかが、
わかってしまう。
「最後の一行」とは、文章が心に
残るかどうかを決める。結論づける
のではなく、
余韻をもって終わられると、
残像が去らない。
ショート・ショートなど
では、最後にどんでん返しをすることも
出来る・・・。
未来「バック・トゥー・ザ・フューチャー」
♣手垢のついた表現は避ける。
良い文章というのは、堂々としている。
媚びがない。古典でも、「源氏物語」や「枕草子」、
「樋口一葉」の文章など、正面切って簡潔に迫って
くる。無駄なものがない。
できるだけ、手アカのついた表現や 慣用句は
避けて、自分の思いや、感覚にピッタリした
言葉を探してほしい。
「雨がしとしとと降る」
あたり前のように「しとしと」とつける
から想像を刺激しない。
「雨が降る」と言い切ったほうが、どんなに多く
のものを含んでいるか、これしかないという
表現がみつからぬときは、事実のみ、スパっと
言葉にする。
「ふと見上げた空に・・・」
「ふと」が、慣用句になって、何気なく使って
いると、文章が、そこで崩れ、ウソっぽくなる。
本当に「ふと」見上げたのか、ただよく
ある例に習っただけなのか?
「一語一語」よく考えて使おう。いいかげんな
表現は、その人の考えていること、感じて
いることのいいかげんさを表す。もう1度、
自分の心に問いかけ、自分の表現したいもの
を確かめよう・・・。
過去「バック・トゥー・ザ・フューチャー」
♣どこにいても、言葉を「切り取る」
自分が、どうしても言いたい部分は、詳しく
具体的に書き込もう。そのためには、いつも
目を 耳を 大きく開いて見ること。聞くこと。
電車の中でも、街を歩いていても、自分の感覚で
言葉を切り取ると、退屈することがない。
表現を学ぶには、本を読むのも大事。好き
な作家の本を読み、どんな表現が、心をとらえ
たのか、考えてみる。原稿用紙に、そのまま
写してみると、作家の息遣いまで、聞こえてくる。
文章を書きながら辞書を引こう。ケイタイ
ではなく、活字の辞書を、せめて電子辞書に
してほしい・・・。
書き終わったら何度も読んで推敲する。
重なった言葉や、余分な表現は削る。足りない
ところは加える。最後に「題」をつける。
タイトルは、
一種のコピーで、自分が書きたいことの象徴
なのだから・・・。
メイキング「バック・トゥー・ザ・フューチャー」
備考:この内容は、
平成20-9-1
発行:PHP研究所
PHP No.724号
より紹介しました。
(サブテーマ)
「バック・トゥー・ザ・フューチャー」
過去、現在、未来、メイキングより
紹介しました。