体の大きさの割に、温厚で飼いやすいのが、「レトリーバー」です。もと
もとは、人間が、狩猟した獲物を回収するために活躍した犬種で、獲物は、おもに鳥類
でした。名前は、ものを回収するという意味の「レトリーブ」にちなんでいます。
たれ耳で、柔和な表情をしているのが大きな特徴です。
水鳥猟で、ハンターが撃ち落とした水鳥を、ピックアップして、持ち帰る役目を
していたため、水を怖がりません。むしろ、水が好きで、水遊びを喜びます。
体は大きいですが、飼い主の指示に従って、素早い行動が取れるのは、狩猟犬
の特質です。体力的にも優れていて、水草が生い茂るところや泥水のなかでも、
獲物を捕えるために、何時間でも過ごすことができました。
性格は穏やかで賢く、忠誠心にも富んでいます。人懐っこいところが可愛い
のですが、見知らぬ人や、他の犬に対しても、あまり吠えないので、番犬には
向かないかもしれません。
訓練次第で、いろいろな仕事を任せることが出来るため、盲導犬や介助犬
としても大活躍しています・・・。
レトリーバーには、「ゴールデンレトリーバー」 「ラブラドールレトリーバー」
「フラットコーテッドレトリーバー」などの種類がありますが、なかでも
人気が高いのが、「ゴールデン」と「ラブラドール」です。
ゴールデンレトリーバーは、イギリス原産で、19世紀後半に、スコットランド
で、改良されて誕生したと言われています。
その名前が示すとおり、金色に輝く毛並みが美しいイヌですが、正確に
いえば、金色というよりも、明るいクリーム色から茶褐色。光沢があるので、光って
見えるようです。体重が30kg前後の大型犬で、オスのほうがメスよりも
、
やや大きく、体高は60cm程度。頭頂部が、やや丸みを帯びて張っています。
とても、温厚な性格で、小さな子供や他のイヌに対しても優しく接します。
飼い主の喜ぶことをするのが大好きで、指示されたことは率先して実行
します。忍耐力も強いのですが、子イヌのときには、やんちゃな一面があります
から、この時期に甘やかすと、わがままなイヌになってしまいます・・・。
大型犬なので、好き勝手な行動を取るようになると、飼い主が抑えるのも
重労働になるので、しつけは、早めにきちんとしましょう。
もう一方の「ラブラドールレトリーバー」も、原産国はイギリスですが、
「ラブラドール」という名前は、カナダのラブラドル半島に、ちなんでいます。原産では
ない地名が、名前に入った点については、ある事情があリました。
ラブラドールレトリーバーは、「ニューファンドランド犬」との交配に
よって19世紀に誕生します。ニューファンドランド犬との、区別をはっきりさせる
ため、ラブラドルの地名にちなんで、「ラブラドール」と、呼ばれるようになり
ました。ラブラドル半島で、漁師の仕事のサポートをしていたためです。
その後に、イギリスへ渡り、鳥猟犬として、活躍するようになったのです。
ニューファンドランド島でもイギリスでも、水中に入って獲物を回収する仕事を
続けてきました・・・。
ゴールデンレトリーバーの毛色はゴールド系だったのに対して、ラブラド
ールは、イエロー、ブラック、チョコレートの3種類があります。
ゴールデンレトリーバーに比べると、体はやや小さめで、
体高は55cm前後。また体重は成犬で、25kg~35kg程度で、
頭頂部は、やや平らになっています。
ゴールデンと同様に、温厚な性格ですが、もともと活発なので、大人しく
見えても、実際は、やんちゃな部分を持っています。甘やかすと成犬になっても、
飼い主の言うことを、聞かなくなる場合がありますが、賢いので、しつけやすいよ
うです・・・。
備考:この内容は、2011-7-27発行
(株)PHP研究所 わんこ友の会 著
PHP文庫 しぐさでわかる「イヌの気持ち」
より紹介しました・・・。