ハエ取り紙と言われたのは、クリントン米大統領である。こころは、汚いものがいっぱい表に
見える。なるほど、ホワイトウォーター疑惑をはじめ、最近は選挙参謀の売○婦交際問題まで、
感心するほどよく続く。
共和党の大統領候補ドール氏は、民主党側から「バットマン」とからかわれた。アメリカの
子供に人気のある漫画、映画のヒーロー、バットマンはBATMANと綴るが、彼の場合は
BUTTMAN。こちらのバットは、たばこの吸いさしという意味だ。
たばこ業界と近く、その代弁的発言をしたこともあって、みそをつけた。クリントン大統領は
たばこの販売や広告を厳しく規制する命令を発表した。大統領陣営が流しているテレビ広告は、
3人の子供がたばこを吸おうとしている場面で始まる。
女性の声がかぶさり、「この中の1人は、たばこが原因で○にます。子供たちを守っているのは、
ドール氏でしょうか?全米に700以上の大型店を持つ大手安売り
チェーンは、今月いっぱいで、たばこの販売を全面的にやめる。他の大手流通業もあとを追う。
という規制が広がっている。嫌煙派は日の出の勢いだ。
けれども、1つ解せない点がある。たばこ業界がなだれを打って、日本を含むアジアの市場に
進出していることだ。米国の紙巻たばこの輸出数は、この10年で、4倍ち近くに急成長した。健康に
よくないと烙印を押されても、他国民が相手なら知ったことではないのだろう。かつて列強が
植民地に対したやり方を思わせる。
もっとも、日本にも、蓄積毒性があるとして、国内では販売が禁じられた農薬を輸出し続けた実績
がある。禁止農薬製造の合弁会社を海外につくった例もあった。大きな口ばかりはたたけないが・・・。
備考:この内容は、1997-4-15 朝日新聞論説
委員室著「天声人語」より紹介しました・・・。