「コンプレックスが心を閉ざす ノーブラの法則」
A子さんの営んでいる雑貨店に、若い女性の常連客B子さんがやってきました。
すると、A子さんが言いました。
「どうしたたの? 今日はなんか、そわそわしてるね?」
B子さんは、いつもは元気で活発な女性です。
けれど、その日は、いつもより無口で、自分の体をまるで守るようにして
両手で体を抱います。
そして、B子さんは、恥ずかしそうに言いました。
「あたし、今日、ノーブラなんです」
「はぁ?」と、A子さんは驚きました。
実は、コミュニケーションができない人は、B子さんと同じなのではないかと
思っています。
B子さんは、「ノーブラ」という恥ずかしいことを知られたくなくて、その日
は円滑なコミュニケーションができませんでした。
いや、「していなかった」と言っていいかもしれません。
コミュニケーション「できない」のではなく「しない」。
自分の中に「恥ずかしいもの」 「知られたくないもの」を必●に隠している
から「しない」んです。他人との距離が縮められない。
僕にも、同じような経験があります。
僕は、中学生の頃に「仲間はずれ」にあいました。そして、それはとてもつらく、
苦しい出来事でした。
でも、その事実は、親にも兄弟にも、その後に知り合った人たちにも、
まったく話していませんでした。
そう、「話さなかった」のです。
それは「恥ずかしかった」から、「仲間はずれにされるようなヤツ」だと
思われるのが恥ずかしかった。でも、自分では、そのことに気づいていませんでした。
その事を、知られたくない僕は、そんなことに関わること全体を隠そうとします。
中学校以前のことを記憶から消し去ろうと努力しました。
ところが、「心」はちゃんと反応していました。
「仲間」とか「親友」なんていう言葉が嫌いでした。
それは、自分の隠している過去を知らないうちに刺激する言葉だったからです。
そんなことに気づいた僕は、意識的にあることを始めました。
そのある事・・・とても恥ずかしく、とてもつらいことでしたが、勇気を
持ってそうすることで、自分の心が開いていくのがわかりました。
そのあることとは、
「恥ずかしいと思っていた体験を人に話す」
ということでした。●ぬほどの勇気を出して、自分が仲間外れにされていた
ことを誰かに話したんです。
が、聞いていた人の反応は、「ふ~ん」でした(笑)。2秒です。
予想していたような「さげすむような)反応は、ゼロでした。
それどころか、「ふ~ん」 「あぁ、あるよね」という反応でした。
話してみてわかったことは、人は、他人の恥ずかしい話には、たいして反応
しない、ということ。今まで、自分がトップシークレットとして守り続けてきたこと
は、単なる思い込みだったと気づいた瞬間でした。
体、容姿のコンプレックス。
能力や学歴のコンプレックス。
仕事や職歴、お金のコンプレックス。
家庭、家族のコンプレックス。
恥ずかしい、つらい体験コンプレックス。
性的なコンプレックス。
あなたは、どんなことを隠していますか?
思い切って誰かに話してみると、きっと楽になれますよ・・・。
備考:この内容は、2011-2-2 (株)。中経出版
心屋仁之助 著
「人間関係がしんどいと思ったら読む本」より紹介しました・・・。