日本の若い女性が着ていたセーターは、男性が女子の頭にピストルを突きつけてる図柄。文字が
添えてあって「BITCH」。空港での見聞だが唖然とした。という当初が本誌「声」欄に載った。
突きつけているのがピストルではなく花だったので、せがまれるままに子供に買って
しまった。ところが辞書を引くと・・・との当初が続いて掲載された。〈恥ずかしさと怒りでいっぱい。
メーカーもぜひ考えてほしい。それとも、「着る側の勝手」とおっしゃいますか?〉。
BITCHとは「あばずれ」 「売女」の意味だ。
日本語の巧みなアメリカの知人が、東京に短期滞在をしている。気になって仕方がないテレビ
CMや社内づりの広告があるという。結婚式場の挙式プランの名前で、〈 フルーティー・ウェディング 〉。
果物みたいに豊かな結婚式、とてもいいたいのだろうか?けれども彼は、俗語の
フルーティを想像してしまう。すなわち「男性同性愛者同士の結婚式」。
「愛してる人と、ピーしてる」これは、簡易型携帯電話(PHS)の広告。サッカー五輪代表の
前園真聖と、女優中山美穂が起用されている。〈ピーしてる〉のピーは、どうやらPHSのP
らしい。しかし、知人の反応は、「PEEのPに」聞こえる。つまり、おしっこという意味。
PEEも同じ発音だ。
コーヒーに入れる粉末クリームの商品名を、メーカーが英語ふうに創作した。ところが、
声に出すと、「ぞっとする奴」の発音と同じ。あるいは、スポーツドリンクの名前が、なんと「汁」。
奇妙キテレツな例は、ごまんとある。ここは日本だ、いいじゃないか、という意見もあるだろうが、
ちょっと調べればわかること。誉められた話ではない。
ピーの会社によれば、すでにあれこれ指摘があったらしい。「事前の街頭調査では、悪い印象は
なかったのですが・・・」。
備考:この内容は、1997-4-15 朝日新聞論説委員室著「天声人語」より紹介しました・・・。