初めてのヨーロッパ旅行 4 ヴェネチア編 | Q太郎のブログ

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さかのぼっても読んでみてね♥♥

 

ムキー パンチ! 妻の怒り

 

 

 なんとかミラノの飢餓状態を生き抜いた私は、

 

体重が増えたとぼやくあなたとともに

 

ヴェネチアのサンタルチア駅に降り立ちました。

 

 

 

 

 

 

そこにはモーターボートが迎えに

 

来ています。なるほど、「水の都」とはこういうことか。

 

ここは自動車が1台も無い町で、

 

すべての移動は徒歩か舟で、とのこと。

 

 

 

 

 

 

 ゴンドラに乗りましたね。粋な船頭さんが

 

カンツォーネを歌ってくれるのですが、

 

伴奏はラジカセに突っ込んだカセットテープから

 

流れるカラオケでした。歌い終わる

 

たんびに、拍手を要求されるのにはまいりました。

 

 

 

 

 

 フェリーチェ劇場にオペラを見に行きました。

 

フェリーチェとは不死鳥という意味

 

だそうで、二百数十年前にできた荘厳な建物。

 

イタリアオペラの殿堂だそうです。

 

演目は忘れましたが、とても暗くて退屈でした。

 

不死鳥どころか、私たちは

 

すぐシんだように寝てしまいました・・・。

 

 

 

 

ある日、夕飯を食べようと町をぶらぶら

 

していました。すると、サンマルコ広場の

 

方から人が怒鳴り合う声が聞こえてきます。

 

私たちは声の方に急ぎました。喧嘩です。

 

派手な服を着た若者たち数人が殴り合っています。

 

私は

 

「危ない危ない。巻き込まれても嫌だから行こう」

 

と言うのですが、あなたは、

 

 

「いや待て待て。こんな派手な喧嘩

 

めったに見れるもんじゃない」

 

と言って、そこを動こうとしません。

 

そのうち、じりっじりっとその

 

けんかに近づこうとしているではありませんか。

 

 

 

 

 

 

「こんなんイヤよ。私恐いわ」

 

とぶりっ子しますが、あなたは無視。

 

じっとそのけんかを睨みつけています。

 

 

 

 

 

 

 

「あの右端のピンクのあんちゃん、

 

あいつがリーダーやなぁ。

 

いいパンチ入れとるぞ」

 

と解説までしてくれます。

 

 

 

 じりっじりっとあなたは近づいて

 

行き、とうとうすぐそばまで来て

 

しまいました。

 

けんかしてるあんちゃんたちが 「何者だ?」という顔つきで

 

こちらを見ています。何かイタリア語で

 

叫びました。どうやら

 

「見世物ちゃうぞ!」

 

と言っているようです。

 

 

 

 

「マジ恐いよう。ほらこっちに来る

 

やん。行こ行こ、早よ行こ!」

 

 

 

 私はあなたの腕を引っ張って、

 

その場から逃げようとしますが、

 

あなたはそれを振り払ってまだ見ています。

 

 

 

「ちょっと、いいかげんにしてよ。

 

これは映画でも芝居でもないのよ。

 

巻き込まれたて殴られたらどうするの?

 

ケガでもしたらどうすんの?病院に運ばれたら

 

どうするの?保険証持ってきてないのに・・・」

 

 

 

 

 

 

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おねがい 夫の言い分

 

 僕がミュージカルと言うものを初めて見たのは、

 

映画の「ウエストサイド物語」だった。

 

中学2年生のときだ。プロローグで、

 

真っ暗な闇の中から指パッチンの音が

 

聞こえてくる。次第に画面が明るくなってくると、

 

向こうから3人の若者が歩いてきて、

 

突然足を上げて踊りだすのだ。

 

「うへぇー、かっこいいー!」

 

 

 

 

 マリアを演じるナタリー・ウッドの可憐さに胸をときめかせ、

 

ベルナルド役のジョージ・チャキリスのダンスにしびれた。

 

僕はミュージカルの魅力に一発で

 

はまってしまった。

 

 

 家の中で壁に向かってダンスの真似事をする。

 

「ゲットクール」

 

渋くつぶやいたりもする。それを見た母が、

 

「バカみたい」

 

と言って通り過ぎる。そんなことにもめげず、

 

将来ミュージカルスターになるぞ

 

と固く誓ったのであった・・・。

 

 

 

 その時、あの「ウエストサイド物語」が

 

目の前で繰り広げられたのだ。

 

ジーンズにバッシュを履いた若者たちが

 

殴り合いを始めたのだ。拳で肉体を叩く、

 

「ブシュ、ブシュ」という音が聞こえる。

 

劇画の擬音は正しかったのだ。

 

 

 

 はじめは1対2の闘いだった。1人の方は

 

一方的に殴られ、散々な目にあって

 

いる。彼は逃げ勝った方は意気揚々だ。

 

ところが、彼はただ逃げたのではなく、

 

味方を4,5人連れて戻って来た。今度は2人のほうがボロボロとなる。彼らもまた

 

逃げた。そして10人ほどの仲間を連れて戻ってきた。

 

女の子も混じっている。

 

 

 

 

うれしいことに、みんなポニーテールに落下傘スカートだ。

 

そのうち、相手方にも味方や

 

女の子も加わり、何十人もの乱闘になった。

 

 

 

 

「ウエストサイド物語」の中の、

 

あの体育館ダンスパーティの場面のようだった。

 

 

 

 こんな楽しいものを生で、

 

しかもタダで観させてもらって

 

いいのだろうか?音楽が流れないのが少々不満だが、

 

目の前でくり広げられている

 

乱闘はファンタジーだった。

 

 お決まりのように警察官が笛を鳴らして登場する。

 

彼らは蜘蛛の子を散らすように

 

逃げ散ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 誰もいなくなったサンマルコ広場。

 

いまやカラオケも満足に歌えず、チークダンス

 

しか踊れないかつてのミュージカル少年は、

 

興奮の余韻に酔いしれ、唖然としていた・・・。

 

 

 

 今も目を閉じると、路地から仲間を救おうと

 

駆けつけてくる若者たちの必死の形相が

 

目に浮かび、殴り合う音が耳に蘇る。

 

君が何を言おうともあの場面に遭遇できた

 

幸運を僕は神様に感謝しています・・・。

 

 

 

 

 

備考:この内容は、2011年8月10日発行

Gakken 上沼恵美子 上沼真平 共著

「犬も食わない 上沼さんちの夫婦げんか事件簿」より紹介しました。