2月の衛星劇場は「南極料理人」の監督沖田修一が
描く心暖かなファンタジー「キツツキと雨」をテレビ発放送!
盛りで暮らす木こりを演じた役所広司に
本作を振り返ってもらった。
撮影現場はおかしなことがいっぱい
それを伝える面白い台本だったので
ぜひ出てみたいと思ったんです
1月の(俳優・役所広司特集)で放映された
「わが母の記」「東京原発」「発秋」「金融腐蝕
列島呪縛」に続き、2月の衛星劇場では
(~特集の中で、役所広司が出演した「キツツキと雨」
を放映。本作は「南極料理人」の沖田
修一監督による自らのオリジナル・シナリオ
の映画化で、デビュー作の撮影で山村に
やってきた若き映画監督・幸一(小栗旬)と
森で暮らす木こりの克彦との交流を独特の
笑いで描くハートウォーミングな人間
ドラマ。愛すべき克彦に扮した役所広司自身が
本作を振り返ってくれた・・・。
「ホン(台本)を読んだ時に、イメージが
膨らんだし、観てもらいたいなってすごく
思いましたね。僕たちは映画を作っている人間に
はニュアンスがよく伝わるというか、撮影
のクルーはみんな真剣なんですけど、
傍らから見るとおかしいことがいっぱいある。
そんな撮影の雰囲気が伝わってくる面白い
ホンだったので、ぜひ出たいと思ったんです」
ということは、役所が演じた克彦にも
モデルがいるのだろうか?
「こういう人、いるんですよ(笑)。あの人、
がんばっているけど、 誰?っていうような人が・・・。
三池崇史監督なんか毎回、沖縄から
髭もじゃのそういう人を現場に呼びますけど、
その人は本当に美術の手伝いをしたり、
車輌のことをやったり、よく働くし、愛想も
いい。その方のイメージがありましたね」
劇中では、幸一の映画に対するエキストラの
形でゾンビ役にも挑戦した。
「ものすごく面白かったし、楽しみでしたね。
撮影の合間に、ゾンビが弁当食べたり、
お茶を飲んだりしている光景もヘンだし、
すごく面白いんですよ。あ~俺も
いまあんな顔してるんだなって感じでした
けど(笑)。劇中劇をゾンビ映画にして大正解
だったと思います。」
そんな役所の目に、劇中の幸一と同じく
らい年齢の離れた沖田監督は果たしてどの
ように映ったのだろうか?
「若いですけど、テレビを撮ってきた監督
とはやっぱり違うような気がしますね。
編集で後からなんとかしようってことでは
なく、自分が撮りたい面に時間をかける、
いい意味で頑固なところもあり、粘り強い。
『どこが悪いのかわかりませんけど、もう1回
お願いします』と正直な人で、スタッフ、
キャストに愛される方です」
この特集では、役所が初めてメガホンを
とり、主演した『ガマの油』も放映される。
「監督を一度やりたいと思って、この作品
でやらせてもらいましたが、知らないことが
たくさんあったし、学ぶことが多かった
ですね。俳優は自分の出番が終わったら
現場を離れてしまうけれど、監督の場合は
キャストやスタッフとずっと一緒にいるわけ
ですよね。そう考えると、映画作りの
面白さって無限にあるんだろうな?って思います。
まったく白紙の状態から台本を作って、
ロケ地やスタッフを決めて、その最終段階に
俳優さんが入ってくるえわけですよね。
それはもう、自分たちが準備した舞台の上で
何をやってくれるんだろう?って楽しみだし、
期待もする。今まで俳優をやってきて、
頭では分かっていましたけど、これだけ監督
から期待されているんだから、いい加減な
ことをやっちゃいけないなって、結果的に
俳優としての自分のことが見えたような
気がしました(笑)・・・」。
備考:この内容は「けーぶるちゃん。 2月号」より紹介しました。