月間バレーボール記者以下VB> 5月19日からのオリンピック
世界最終予選(OQT)、それを突破しての
ロンドン・オリンピックへ向けて、眞鍋
ジャパンはいよいよ集大成の年に突入しますが、
まず、ここまでの3年間の成果を振り返って
いただけますか?
眞鍋> 2009年に監督に就任しました
が、その時はまずスタッフ、選手全員で
「次のオリンピック、ロンドンでメダルを獲る
ためにやろう」という目標を立てました。
その目標から逆計算方式にチームが達成して
いくべき道筋を考えて行きますと、オリンピック
出場権が取れる3位以内に入る
こと、そのためにはさらにその前年の世界選手権で
3位以内に入ること・・・そういう
設定で進むことになった訳ですね。
まず、1年目の2009年は、4年後の
ロンドンでは世界がどんなバレーボールを
するのかをみんなで勉強しようということ
で、「世界を知る」というテーマで
やりました。相手を知らなければ、日本はどんな
スタイルでいけばいいのかわかりません
から、それも踏まえて、世界を知るという
ことがテーマでした。
2年目は、いよいよ世界選手権という
年でしたから、メンバーも大友の復帰など、
ベテラン含めた大会を見据えたセレクション
となりました。そして、世界選手権では
銅メダルを獲って目標が達成できたわけ
すが、実際に世界3大大会で表彰台に
登ったことによって変わったのが、選手の意識
でした。昨年のワールドカップへ向けた
最初の合宿においても、選手たちは意識も
目の色も顔つきも変わっていましたし、
これからワールドカップやオリンピックで
ほんとうにメダルを取るんだというような言動
も顕著に現れていました。まさしく選手が
本気になったということを感じましたね。
VB> 1つ上のステージに突入した・・・と?
眞鍋> それはもう、まちがいなくこれまで
とは違っています。ですから、残念ながら
昨年のワールドカップでは目標を達成でき
ませんでしたけれども、今回のOQTでは
1位通貨をして、我々の最大の目標である
ロンドン・オリンピックを狙うと
いうことに変わりは無いわけです。現在、
日本はランキング3位ですからね。
やはり一番輝いている色のメダルに挑戦しよう
ということです。
VB> そのOQTですが、日本はロンドン
の出場権獲得まちがいなしとの見方
がありますが・・・?
眞鍋> いやいや。そんなことないですよ、
ほんとうに。目標は1位通過ですが、その
中で注意しなければいけない国としては、
キム・ヨンジュンというエースのいる
韓国。私もトルコリーグを見てきましたけれ
ど、今、トルコリーグは非常に経済的にも
豊かで、世界から素晴らしいトッププレーヤー
が何人も集まって試合をしています。
そんな中で、キム・ヨンジュンはMVPを
獲っていましたからね。昨年よりはるかに
いい状態ですね。ほんとうに韓国は要注意
です。
あとはタイですね。小さいですけれど、
非常に早くてミスの少ないバレーを
します。日本は2年前に負けていますし、そう
いった意味では韓国、タイは要注意ですね。
当然、あとのヨーロッパ2つと、北北米
(キューバかドミニカ共和国か)を考えれば、
厳しい試合になるのはまちがいないと
思っています。
VB> 改ためて昨年のワールドカップ
(4位)を振り返って、日本の課題を
整理しますと・・・?
眞鍋> バレーボールは2m24cmの高さの
ネット、言ってみれば障害物があるのですが、
その対策として今すぐ身長を伸ばせとか、
パワーをつけろとかいうのは不可能な
訳ですね。だとするとば、”日本の
オリジナル”を追求するしかない。バレーボール
のルールでは、ボールが床に落ちなかった
ら点数が入らないスポーツですから、そう
言う意味で、日本のお家芸と言われている
ディフェンスをさらに強化することが、
まちがいなくカギになります。長所を伸ばして、
短所はできるだけ克服することの中で、
冷静にずっと研究してくると、やはり
サーブとレシーブ、ディグ、加えて失点
を少なくするという4つの部門だけは、
何としても世界一を狙おうという結論になり
ます。そして、そこは十分狙えると
思うんです。
スパイクとかブロックとで世界一を獲れ
というのは、これは今の段階では不可能です。
もちろん、ある程度の目標設定をして
いますけれども、一番になるのは無理。では
その代わりにサーブとかサーブレシーブとか
ディグとか、そこだけは1位になろうと。
それが”日本のオリジナル”ということに
つながるのです。しかし、世界選手権も
昨年のワールドカップも、サーブとサーブレシーブ
がはやり1位になれなかったのですね。
上位にはいますけども、1位になれない。
ディグはこれだけ練習していますから成果
は出ていますが、特にサーブとサーブレシーブ
の部門ではやり1位にならないといけない。
逆に、この3部門を獲るとまちがい
なく金メダルに近づく、一番の近道でも
あるわけです。それはOQT、オリンピック
においても同じだと考えています。
VB> さて、4月20日から中国遠征が
ありますが?
眞鍋> OQTまで日がありませんので、
選手の状況を見極めるためにも大切な遠征に
なると思います。中国はオリンピック出場
権を持っていますから、リーグ戦も早く
終わって、代表チームの練習をずっとして
来ています。そういった意味で、日本が
どれくらいの力を持っているのか?OQTの
前哨戦という考え方でいますけどね。
VB> 日本も例年より早い代表の集合では
ありますが、国内のリーグをはさんで、
少なくともワールドカップ時点のチーム力に
戻す準備期間が必要になりませんか?
眞鍋> でも実際に時間がないのですよね、
今年は、それが一番の問題で、早くチーム
を作り上げなければいけません。当然
選手たちはそれもわかっていますが、そうい言った
意味で、OQTの戦い方というのは
非常に難しいですよね。これまででしたら
チームを作り上げるのが冬場の11月ぐらいで
すが、今回は5月。これはばかりは、難しい
ところなんですよね。
VB> そう言う意味では、眞鍋監督自身も
4年目にして初めての挑戦となりますが?
眞鍋> はい。そうなんですよ。でも、3年
分の土台はありますからね。
VB> OQTでの1位通過、ぜひとも
達成してください。応援しています・・・。
備考:この内容は:「月間バレーボール5月号」より紹介しました。
解説:OQTとは、オタクブログのQ太郎のこと、あっ!ちがった
OQTとは、オリンピック世界予選のことです・・・。
