G県の淡墨桜
日本では入学式といえば、満開の桜の木の下というイメージだが、春に新学期が始まる
のは世界でも珍しく、ほとんどの国では9月に入学式がある。しかし、わが国の場合、
4月に始まるのは学校だけではなく、会社や役所の予算も4月にスタートする。
帰国子女や留学生にとっては、半年間もブランクができてしまうこの制度は、いつ、
どうして、定められたのだろうか?まず学校側のほうだが、明治19年に軍の徴兵が1月から
4月に変更になり、師範学校が軍に優秀な若者を取られてしまうのを、恐れて、それまで
9月だった新学期を4月にしたのが始まりである。そのほかの学校も、次々に師範学校に
習ったというわけだ。そして、同じく明治19年に軍の会計が4月になったことが影響し、役所
や民間企業の予算年度が定まったらしい。
なんと100年以上も前の、それも徴兵制度の影響で始まった制度が、現代まで延々と
続いているのだ。今更すべて9月に変えるのも、大変だろうし、美しい季節の入学式は情緒
があっていいのだが、歴史的背景を知ると、また違った印象をもつ人が多いのでは
ないだろうか・・・。
備考:」この内容は、1997-5-10発行、コスモ出版 「通勤電車を楽しむ本」より紹介しました。