日本科学技術大学教授 上田次郎の
「どんと来い、超常現象」
自称 超能力者たちよ、
かかってきなさい!!
科学の申し子、上田次郎の挑戦状
私に言わせれば、すべてのホラー現象は、
ほらに過ぎない。
超常現象を恐れてはならない。
Don't be afraid!
どんと来い、超常現象!
1 「超常現象を恐れるな!」
そもそも、三次元の空間で構成されているこの地球上に置いて、物理学の
法則で解明できない現象など皆無で絵ある。裏を返せば、すべての超常現象は、
物理学によっていともたやすく証明できてしまうのだ。そして、物理学の
権威である私の前では、世の中にはびこるエセ霊能力者やニセ超能力者が
仕組んだオカルトなど、まったく無意味な存在である。
しかし、実に嘆かわしいことだが、今なお偽りの能力を語り、人心を
惑わせる輩は後を絶たない。本来ならば、研究や講義、学会などで超多忙な生活
をおくる私が、そういった低俗な事件にかかわっている時間など皆無である。
しかしながら、生来の正義感と科学的な好奇心に突き動かされ、図らずも
事件に関わってしまうのだ。これは世界一の賢さを持ってしまった私の、最大の
不幸であるのかもしれない。
わたしはこの本に、今までズバリと解決してきた超常現象絡みの事件の顛末を、
事細かく書き記しておく。それは、いつかみなさんが不可思議な現象を目の
当たりにした時、冷静に対処する心構えをしておいてほしいからである。
超常現象を恐れるあまり、それから目をそむけたり、恐怖で気を失うことなど
もってのほか。常に物理学的見地に立ち、現象を見極めなければならない。そう、
すべてのホラー現象は、ホラに過ぎないのだから。
この章ではまず、私自身の、バックボーンから紹介しておきたい。幼いころ、
劣等生とも言える時代を過ごしてきた私が、なぜ世界一の物理学者という
地位にまで上り詰め、超常現象の第一人者になりえたのか。その波乱に
富んだ半生を知ることこそが、超常現象と真正面から向き合うための礎となる
はずである。そして、皆さんにとってこの本が、仕組まれた超常現象に
立ち向かう”勇気の書”となれば幸いである。
備考:この内容は 学習研究社 日本科学技術大学教授 上田次郎の
どんと来い、超常現象 (¥1238+税)より紹介しました。