天使の耳 3/9 | Q太郎のブログ

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モニターで映像を確認すると、加瀬紀夫は納得してうなずいた。満足のいく出来栄えだ。無駄

 


なことは撮影していないし、何より迫力がある。花

 


 ・・・何しろ本物の事故だからな。

 


 紀夫がビデオカメラに凝りだしたのは、去年、大学に入ってからだ。入学祝に花

 


カメラをもらったのだ。最初は片っ端から撮影して喜んでいるだけだったが、そのうちに自分で

 


作品を作ってみたくなった。と言ってもドラマを作るのは大変だ。彼がこのところ集中して花

 


いるのは、ちょっとした事件があればすぐに駆けつけて撮影し、自分なりに編集してニュース

 


番組を作ることだった。テロップも入れてみたりする。花

 

 ただ問題は、事件と呼べるものが周囲に多く転がっているわけではないことだ。それで

 


どうしても、紅葉の季節が来たとか、初雪が降ったとかいうニュースばかりになってしまう。ハイビスカス

 


 その点が不満だった。

 


 そんなとき、今夜の事故だ。ガシャーンというものすごい音を聞いて窓を開けると、はなはな

 


ちょっと先の交差点で車がぶつかっていた。そこで紀夫は意気揚々と、ビデオカメラを持って

 


駆けつけたのだった。したがってパトカーや救急車が駆けつけるところや、事故車からケガ人をパトカー

 


救出するところまで撮影できたのだ。救急車

 


 ・・・贅沢を言えば、事故の瞬間を取りたかったな。あせる

 


 まあ無理だけど、とモニターを見ながら紀夫は悦に入った。画面には信号機や周囲の

 


様子が映っている。意識的に現場以外の場面も撮影したのだ。ビデオカメラ

 


 ・・・さてと、これをどう編集するかな。

 


 その方法について、紀夫は考えを巡らせた。花






 

つづく