発表は”メディア組”へとヒートアップ!
この日、総選挙で選ばれる予定の選抜21人。実はこの選抜は、さらに二つのグループ
に分かれていた。
CDに収録されている楽曲を歌い、PVに出演するのは確かに21人だが、新曲の宣伝
などでテレビや雑誌などのメディアに出る場合は、上位12人のみが出演することになって
いた。つまり、通称”メディア組”となる12位と次点の13位との間には、とてつもなく
大きな差があったのだ。
そのため、速報、中間と10位をキープしていたチームKの宮澤佐江が14位に落ちたときに
は、会場は大きくどよめくことになる。
発表されたメンバーたちが、次々とステージ上に置かれた順位番号が書かれたイスに
座っていく。選抜13位までの名前が続き、22位から30位のアンダーガールズの発表。
そしていよいよ、”メディア組”の名前が呼ばれていくことになる。
司会の戸賀崎が、一度大きく息をついて発表する。
「12位。チームK、秋元才加」
チームKデビュー以来、ほぼ選抜に選ばれていた秋元だが、「10年後」以降、選抜から
外れていた。ファンの間では「もう秋元は選抜に戻れることはないんじゃないか」という
声もあったため、会場は割れんばかりの歓声となる。
秋元(才)「アンダーガールズに呼ばれなかった時点で(終わった・・・)と思いました。
でも、票を入れてくださった方のためにも、その場では自信のない顔やガッカリしたような
顔はしたくなかったんです。自分の名前が呼ばれた時は、本当に信じられなかったです
ね」
秋元の名前が呼ばれた瞬間。先に14位としてステージ上にいた同じチームの親友、
宮澤佐江が顔を押さえて号泣していた。
宮澤「中間発表では、才加は私より下の順位だったんですよ。だから私が先に呼ばれた時
に(もう自分は呼ばれないかも)って思っていたらしくて。才加は2曲続けて選抜落ちを
していたから、本当にもう一度、一緒に選抜で歌いたかったんです。だから、才加の名前が
呼ばれた瞬間に嬉しくて泣いちゃいました。そのあと、才加と目が合って、お互い (うん)
ってうなずいて。そしたら、また涙があふれてきちゃって」
ここまでアイドルが、”自分のために” そして ”仲間のために” 本気の涙を流した
イベントは、後にも先にも存在しないだろう。
こうして ”メディア組” が発表されていく中、誰もが自分の名前が呼ばれるのを
待っていた。しかし、どんどんと順位が上がるにつれて「もう自分は呼ばれないだろう」と
あきらめていったメンバーも多かったことだろう。
その少女も、そう思っていた。少女は、メンバー席の一番後ろでずっと下を向いて
泣き続けていた。
おわり
備考:この内容は、集英社 週刊プレイボーイ編集部 AKB48ヒストリー 研究生公式教本 よりお借りしました。