投票結果、発表。歓声、そして号泣するメンバー
2009年7月8日、赤坂BLITZ.
「AKB48 13thシングル選抜総選挙(神様に
誓ってガチです)」。小雨振る中、18時開幕。会場には、この歴史的イベントを目に焼き付け
ようと集まったファン1000人がひしめき合っていた。
まずは、新曲「涙サプライズ!」を歌うメンバーたち。しかし、彼女たちの顔に
自然な笑顔は一切なかった。誰もが緊張と不安のため、うまく笑えないのだ。続いて今回の
選挙に出馬しているAKB48、研究生、SKE48のメンバーが一人ずつステージ上に
登場。そのまま舞台から降り、観客席前部に用意されたイスに座る。メンバーはファンの
目の前に背中を向けて座っていくという、変則的な形式で並ぶこととなった。
やがて、公正を期すために弁護士が管理した投票結果が会場に届き、いよいよ総選挙の
発表が始まる。AKB48劇場支配人、戸賀崎智信が「21位」と書かれた封筒にハサミを
入れて、中から紙を取り出した。
「21位。チームK、倉持明日香」」
発表と同時に会場から上がる歓声。
倉持明日香。彼女のそれまでの順位は速報が14位。中間が15位。
「順位が大きく変わっている!」
会場にいた誰もがそう思った。最終投票では、中間発表以上に「このままでは、自分の
応援するコが落ちてしまう!」 と動いたファン層があったことを、この時、誰もが知った
のだ。
続いて20位。チームB(当時)・多田愛佳の名前が呼ばれる。
ステージに上がった多田は、大粒の涙をこぼしながら「うれし泣きしたのはオーディション
以来で、手がブルブル震えています・・・」と泣きじゃくる。多田の述懐。
「私は、ほとんど選抜に入れなくて・・・一番最初にチームBから選抜されたのは
(BINGO!)で、そのときは(渡辺)麻友と柏木ちゃんとなっちゃん(平嶋夏海)だったんで
す。その時から毎回悔しくて。(なんで自分じゃないんだろう)って。帰りの電車の中で
ずっと泣いていました。だから、あの選挙で名前を呼ばれた時は・・・よくわからなくて。
本気で(選抜に選ばれなかったらAKBを辞めよう)って思っていたから、本当に嬉しかったです」
多田の涙に続き、次々と発表されていくメンバーたち。その目には数えきれないほどの
涙が溢れ出していく。
そして、17位の発表。AKB48が始まって以来、一度も選抜に選ばれたことがなかった
浦野一美の名前が呼ばれた。
浦野「あのときは、本当に天にも昇る気持ちでした。それまでAKB48に入って3年半。
(会いたかった)の選抜に入れなかったときに記憶をなくすほどに泣いて、それ以降も一度
も選抜に選ばれたことがなくて。お母さんも(なんで一美は選抜に選ばれないんだろう
ね)っていつも一緒に泣いてくれて。その日は願掛けをしていて、手首にお母さんと一緒
にお守りをつけて臨んだんです。正直、今回の総選挙の話を聞いた時には(これが最初で
最後のチャンスかもしれない)って思いました。私にとって”選抜”に入ることは、
いつからか”夢”になっていたから。・・・だから、あの時17位と言う結果が本当に
嬉しかったし、ファンの皆さんに感謝でした」
続いて16位に発表されたのは峯岸みなみ。
峰岸「本当にファンの方のありがたみを知った2週間でした。それと今、振り返って一番
印象的なのは・・・総選挙イベントが始まる直前に、あっちゃん(前田敦子)が初期メンバー
のみんなに(よかったね、みんなで選抜に入れるね)って言ったんです。(初期メンバー
は全員名前を呼ばれるよ。峯岸も絶対入れるよ)って言ってくれたんです。あっちゃん
としては、みんな頑張っているのを知っているから、初期メンバー全員が選ばれる自信が
あったみたいで。あっちゃんってあんまり感情をはっきり出さないし、人に興味がない
のかなって思っちゃうことがあるんですけど、チームAのことを好きでいてくれたことが
嬉しかったです」
続いて15位。同じくオリジナルメンバーの佐藤由加理の名前が呼ばれる。
佐藤(由)「浦野が選ばれた時はうれしかったです。やっぱり劇場オープンから一緒に
やってきた仲間だし。でも、16位にみいちゃん(峯岸)が呼ばれた時点で(あっ、私、
ダメだ!)って思いました。みいちゃんよりも自分が上って言うのは考えていなかったんで。
だから名前を呼ばれた瞬間は信じられなくて。(私のことを応援してくれる人が”まだ”
いるんだ)、そして(どうやって恩返しをすればいいのかわかんないや)って思いましたね。
ステージ上でイスに座ったら隣が浦野で、その時には泣き止んでたのに目が合った瞬間、
浦野がボロ泣きするんですよ。そしたら、こっちも涙があふれてきて。(よかったね)って
ステージ上で二人で泣いていました」
つづく