東京スカイツリーを見上げる東京都墨田区の街角にある工房「すみだ江戸切子館」には、キラキラとまばゆいばかりの江戸切子が並んでいる。

 

藍や銅赤など自然な色合いのガラスに伝統的な菊つなぎ、麻の葉、七宝といった文様を刻み込んだ江戸切子は、江戸後期に制作が始まり、200年近い歴史を持つそうだ。

 

天候、時間帯、光の具合、置く場所や眺める方向によって、同じグラスとは思えないほど表情が変化し、飽きることがないという。

 

グラス、ぐい飲み、タンブラーといった酒器を中心に、花瓶や皿、アクセサリー。

 

近年では部屋の装飾に使うパネルや照明器具なども引き合いがあるそうだ。

 

工場の奥には、ダイヤモンドの粉を刃先にまぶした円盤をセットした研磨機。

 

「粗摺(ず)り」「石掛け」というガラスを削る工程は、自分の目と手だけが頼り。

 

100分の1ミリずれるだけで、光の屈折が変わってしまう。

 

線の細さも深さも寸分たりとも狂わないよう、常に同じ力加減で。

 

力を入れすぎても抜きすぎてもうまくいかないそうだ。

 

器を持つ指先に神経を集中させる。

 

頭の中に描いたデザインを、自分の目と指先だけを武器に、グラスに映し出していく。

 

それはまるで魔法のようだ。