神戸市の旧外国人邸宅が点在するエリエにある「神戸北野ホテル」は、英国調の赤レンガが造りのオーベルジュ。
フランス料理の重鎮、故ベルナール・ロワゾーさんが考案した「世界一の朝食」を提供していることでも知られる。
全宿泊客が食するこの朝食の再現許可を得たのは、フランス修業時にロワゾーさんに師事した山口浩さんがホテルの総支配人・総料理課長に就いた2000年のこと。
24年10月末にはホテルオーナーにもなった。
山口さんのスペシャリテのひとつ「サラダオマール」は、ロワゾーさんの料理哲学が分かる一皿でもある。
主な食材はブルターニュ産のオマールエビとキュウリ、キャビアの3つ。
「フランス料理の21世紀の扉を開けた」とされるロワゾーさんの料理は、バターや生クリームなど乳製品を控え、素材を生かす「水の料理」と評される。
交通網の整備が進み、仕事でも体を動かさなくなった現代人が求めるのは、従来の脂質や糖質、タンパク質がたっぷりの食事ではなく、バターなどの油脂を排除した料理。
そして今、力を入れているのは、世間であまり知られていないものの価値を知る「アンノウン」というコンセプトで、魚や肉など、地元の食材の価値を高める料理に仕上げる取り組み。
日本の食文化を守り、伝えるためにも地元食材に挑戦し、味わい豊かなフレンチとして世界に発信するそうだ。
山口さんの新たな幕が上がったようだ。