20年ぶりに紙幣が刷新された。
偽造防止の透かしの技術は、越前和紙の技法が基になっているという。
和紙製作は原料づくり→紙すき→乾燥を、それぞれ1日ずつかけて行う。
原料となるミツマタやコウゾの白い樹皮をやわらかく煮て、傷のある皮や不純物を手作業で丹念に取り除き、ハンマーでたたいて繊維を崩したものが和紙の原料となる。
原料に地下水を加えて混ぜ、桁(けた)と呼ばれる木枠のような道具を前後左右にゆすって、薄さが均等になるようにすき上げる。
絞って乾燥し、再び不純物を手作業で丁寧に取り除いたら、ようやく仕上げ。
木の命を生かして作られる越前和紙の魅力は、強靭(きょうじん)さと美しさを兼ね備えている点にある。
光に透けるほど薄いものであっても、丈夫でしなやか。
破れにくく長持ちする。
色味は自然に生成り色で、表面に凸凹はあるのに手触りはやわらかく、独特の風合いが心地よい。
和紙は意外に身近に存在している。
祝儀袋や日本酒のラベル、和洋菓子の包装紙から、壁紙やタペストリー、照明まで。
そしてお札だって!。
和紙は日常から遠いものではないようだ。