宮﨑県椎葉村を含む「高千穂郷・椎葉山地域」は2015年世界農業遺産に認定された。

 

村の名所にもなった「仙人の棚田」や焼き畑、国指定重要無形民俗文化財の椎葉神楽ー。

 

新緑が広がる標高約450メートルの九州山地の尾根伝いに、階段状に連なる約100枚の田んぼが広がる。

 

耳川沿いにある椎葉村下松尾の「仙人の棚田」。

 

もともと水の確保が難しかったこの地に水路が整備されたのが約160年前の明治初期。

 

以来、地元農家らが水源を守り続けてきた。

 

初夏が近づくと近所の農家や親戚が総出で苗を手植え、秋には稲刈りしてかけ干しする。

 

機械化が進み、昔ながらの習慣はなくなりつつあるものの、村に根付く助け合いの精神「かてーり」で棚田はその機能を維持し歴史を紡いできた。

 

時に雲間からのぞく棚田は南米ペルーのアンデス山脈にある古代インカ帝国の遺跡になぞらえ、〝椎葉のマチュビチュ〟と言われる。

 

この幻想的な光景がメディアで紹介されると、国内外から多くの観光客が訪れるようになり、棚田は村の観光資源となった。

 

棚田は生活の原点。

 

村の人々は次世代に伝統をつないでいく。

 

次代に合わせた新たな「かてーり」が求められているようだ。