山口県東部の瀬戸内海に浮かぶ外周約100キロの周防大島は県のみかん生産量の約8割を占める。

 

このみかんと地魚を使った「みかん鍋」が冬から春にかけての名物。

 

みかん鍋は島内の飲食店主と農漁協、観光協会がアイデアを出し合い、17年前に誕生した新名物料理。

 

10月から翌年3月末まで島内8軒ほどの料理店や旅館で味わえるようだ。

 

協賛店の間では材料とつくり方に一定のルールが決められ、守られている。

 

「みかんを使ったつみれ(つくね)と白玉団子や餅、公認の焼き印を入れた皮付きみかんとみかん胡椒を入れること。

 

最後のシメは泡立てたメレンゲ雑炊にすること」。

 

ほかの具材は店独自に個性を競う。

 

今では希少となった二枚貝「瀬戸貝」を使ったみかん鍋をコース料理で提供する割烹「食在周防あらかわ」。

 

まず刺し身と八寸から。

 

八寸では焼きサザエやアジのヌタなどを味わい、鍋を待つ。

 

かつおと昆布で引いた出し汁がぐらぐらしてきたところで、タラやエリの白身魚をたたいたミンチに玉ねぎとみかんの皮を入れたもの、牛豚合いびき肉にみかんの皮と刻んだニラを入れたものの2種類のつくねを入れる。

 

再沸騰し、みかんの皮と魚介からいい香りが漂ってきたら食べ頃。

 

名前から予想したよりもはるかに味に深みがあり、変化に富むみかん鍋。