家庭内での箸や茶碗については、使うものを個人ごとに決めている家がほとんどだ。
おそらく外国では見られない日本独自の食文化に違いない。
私たち日本人は、「茶碗」という言葉で実にさまざまな容器を表現していることに気が付く。
ご飯を食べる器も、お茶を飲む湯飲みも「茶碗」、やけ酒はだいたい「茶碗酒」で飲む。
「茶碗」というものは、もともと喫茶のために作られた容器で、中国大陸から茶器として奈良時代から平安時代あたりに、茶と一緒に日本に伝来したようだ。
中国では、ご飯を食べる容器を「茶碗」、スープを飲む容器を「湯碗」、そしてお茶を飲む容器を「茶碗」と呼んで区別して表現しているそうだ。
一方日本では、中国から伝来した喫茶の習慣が普及するとともに、「茶碗」が一般的な名詞として定着し、喫茶以外の用途に使われる陶磁器も「茶碗」と呼ばれるようになった。
普段何気なく使っている「ごはん茶碗」は、非常に不思議な名称だが、そこに「茶」という漢字が使われるのは、おそらく喫茶という習慣が長期にわたって社会に深く定着し、「茶碗」という名称が広い意味に使われる呼称となったものに違いない。