昔懐かしい五右衛門風呂の世界唯一のメーカーという広島市の「大和重工」。
180年余りの伝統を誇る大和重工は、たたら製鉄の技術を武器に成長。
良質な砂鉄などを入れた炉にふりごで風を送り、良質な鉄を作る技法で、刀の製造をはじめ、鍋や釜、農工具など生活道具にも幅広く応用されてきた。
同社は1831年に、広島藩の御用鋳物師が創業。
明治時代に入ると、たたら製鉄の技術で五右衛門風呂の製造を手がけ、ヒット。
現社長の祖父の代からは、造船や工作機械製造などに事業を拡大。
船舶エンジンなどの超大型産業用鋳物の分野では、現在も国内トップ級の技術を誇るそうだ。
たたら製鉄の精神を生かした伝統的なものづくりに取り組む一方、新たな事業への挑戦も続けているようだ。
その一例が、高級マンションやホテルなどの需要が多い鋳物製高級ホーロー浴槽の製造。
昨年5月に三重県で開かれた伊勢志摩サミット会場の志摩観光ホテルにも導入されたようだ。
昔ながらの五右衛門風呂も、可動式のものにして、アウトドア好きの若者や自然回帰志向の高齢者層に注目されているという。
同様に、調理用の「移動かまど」も販路を拡大しているようだ。