宮崎県美郷町北郷は、木炭の中でも高品質な備長炭の

有数の産地。


今、高齢化や担い手不足で継承が危まれている中、職人らは

炭焼き文化を守ろうと、作業場で火の粉を散らす炭窯に

向かっている。


2007年、北海道から同町北郷に移住した夫婦で営む製炭所には、

巾着型の高さ2.4メートル、床面積6.5平方メートルの窯2基が連なって

いるそうだ。


山から原木を切り出し、長さや形を整え窯に搬入した後、乾燥、

炭化を経て窯出し。


1回の窯出しで、原木8トンから約850Kが生産されるという。


紀州備長炭で知られる和歌山県の製炭方法と比べ、水分の多い

アラカシを用いる北郷では、乾燥に約3倍の時間をかけるそうだ。


その乾燥法も独自の技術で、窯内部で直接火を焚かず、窯の下に

設けた燃焼室で薪を燃やす「小窯方式」を用いているという。


「火付きがよく、火持ちもいい」と評価される北郷の炭は、東京を

中心に高級料亭や焼き鳥店などで使われているようだ。