「再契約がこんなに遅くなって、まことに申し訳ありません」
ヒョンスさんの事務所…キム社長と台湾店の専属モデルの再契約を結ぶ為にやってきた。
「いえ」
憮然と答える社長…どうやら、私の知らない所でヒョンスさんと何かあったらしい。
「ユジンさんも、わざわざお越し頂いてありがとうございます」
「いえ…待ってました…社長ったら再契約の話しを教えてくれないもんだから、随分落ち込んだんですよ~w」
今なら笑って話せるけど、本当にあの時は落ち込んで荒れた…おかげてジウンオンニに噛み付き、セブンオッパにも余計な事を言ってしまったかも…しれないっと少し反省もしてる。
お店のスタッフらしき人がコーヒーを運んできた。
ヒョンスさんと社長の顔を恐々と行ったり来たり見てる。
なに?
「ありがとう…下がっていい」
尚もそこに居続けるスタッフにヒョンスさんが言った。
「…でも…」
「大丈夫」
落ち着いた口調で言うヒョンスさんに、ようやく安心したのか部屋を出て行った。
「では…早速…」
気を取り直すようにヒョンスさんが言って、契約書を取り出しサインをする。
「ユジン!イヤなら辞めてもいいだぞ?」
ヒョンスさんと何かあってから、社長はこの話しに乗り気ではない…。
それを私が「絶対にやる」っと押し切った形になっている。
「社長~」
なだめるように言った。
「分かった…お前に任せる」
尚も不機嫌そうな社長を横目に契約書にサインをした。
「これでおしまいです。台湾店はまだまだこれからの店なんで…父もユジンさんに期待してるって言ってました」
そう言った時のヒョンスさんの苦味を潰したような顔…父?
「今日はワザワザありがとうございました」
あ…いつもの顔に戻った…。
時間にして30分にも満たなかっただろう…簡単なスケジュールの打ち合わせをして契約は終わった。
「では…我々はこれで失礼します…ユジン、行くぞ」
先を急ごうとする社長。
「社長?…私、もう少しヒョンスさんとお話があるんです。先に帰っててもらえます?お店で買い物もしたいし…」
「う…でも…」
渋い顔の社長。
「すぐ戻りますw衣装合わせの時間までには戻るから!ねっ?いいでしょ~?」
上目遣いで甘えた声を出す。
「…分かった…仕方ない…じゃ~先に戻ってる」
ふっwこの仕草で対外は思い通りになったw
何度も振り返りながら帰って行く社長を見送ってヒョンスさんの事務所に戻った。
「…何の話しですか?」
ヒョンスさんが窓にかかってる黒いシフォンレースとサテンのカーテンを見たまま話す。
「カーテン…替えたんですね?」
「ええ…」
「社長が、ヒョンスさんに失礼な事を言ったんじゃ?」
「社長がそう言ったんですか?」
「いいえ…ただ、今日の社長の様子と…コーヒーを運んで来たスタッフさんの反応で何となく…」
「ふっwww.あなたは勘のいい人だw」
そう言ってゆっくり振り向いた時のヒョンスさんの顔…今までに見たことがない冷めた顔をしていた。
ヒョンスさんが無言で事務所を横切る…ドアからカチャッっと言う音が響いた。
「あの…?」
「ユジンさん…僕の事が好きなんですって?」
「えっ/////?誰から、そんな////」
「ジウンさんですよ」
オンニ…。
「オンニと会ってるんですか?」
「…2人きりで?…仕事以外で会ったのは1度だけです」
そう言ってヒョンスさんが遠い目をする。
「ヒョンスさん…オンニの事?」
「ふっw好きですよ…自分の物にしようとしましたが拒否されました…」
一歩…また一歩…ヒョンスさんがゆっくり近づいて来る…私はそれに合わせて一歩…一歩…窓際のカーテンに押しやられて行った。
時々カーテンが顔をくすぐる。
「自分の物って…」
「彼女が誰を好きか~なんて関係ないんですけどね…」
ヒョンスさんの暗い瞳にオンニの影が写ってた。
「オンニには好きな人が…」
「知ってますよ…ジヨン君ですよね?彼女…言ってました。付き合ってる人がいながら他の人に心を動かせる女のどこがいいんだって…」
「ど…どこですか?」
1番聞きたい事だった。
オッパだって、ジヨンだって…みんなオンニが好き…。
それが分かれば…。
「ふっw…それを聞いてどうするんです?あなたもそうすると?」
「はい」
「w…でもそうした時点で、あなたじゃなくなるのに?」
ヒョンスさんが顔を近づけて言った。
あっ…オンニの真似をした所で、それはオンニであって私ではない…私は見てもらえない…。
「ふっw…あなたと私は同じ立場のようだ…w」
ヒョンスさんの指が私の頬を撫でる。
「あなたなら分かってくれますよね?」
そう言うと、私にカーテンをかぶせシフォンレース越しにキスをした。
んっ//////
そのままデスクに押し倒される。
ヒョンスさんの手はガラスを触るように優しく滑り、唇はむさぼるように荒々しく這う…。
まるで誰かを傷つけたくないけど、壊してしまいたいっ…そう言ってるみたいだった。
オンニ…私、オンニが羨ましいよ…こんなに想われて…。
「ジウン…」
遠い目をしたヒョンスさんがオンニの名前を呼んだ。
分かってる…オンニの代わりだって事くらい…でも…今だけは…。
私はヒョンスさんにしがみつくように肌を求めた…いつか…いつか自分を見てもらえる…そんな淡い期待を持って…。
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