尺は短いですが、とても充実した内容です。話は有名ですね。
『勧進帳』です。
義経が女っぽいのには、ちょっと違和感ありましたが、まぁ、ミュージカル要素を取り入れているので、これで良いのでしょう。
何と言っても話を転がす、エノケンが面白い!
クライマックス、山伏に扮した弁慶が、関所の官吏の前で『山伏ならば「勧進帳」くらいは読めよう』と言われ、取り出した『白紙』の『勧進帳』を読む件りが圧巻!
…まぁ、歌舞伎の通りですが…。
徐々に弁慶に疑いを持ち、巻物を見ようと迫ってくる、悪役にハラハラ!
弁慶は滔々と「読み」続ける、官吏は迫る、そしてギリギリのタイミングで読み終え、官吏を睨み付ける大河内弁慶は圧巻でした。
流石、元・歌舞伎役者♪
更に一行は、義経にも疑問を持ち、弁慶は怪しまれる事をかわすため『剛力』に扮した義経を、力の限り叩きます。
その時のエノケンの『おやめ下せぇ』が泣かせるんです。
映画のオリジナルです。
さて関所を無事通過した彼等。
弁慶は無言のまま、主に対する暴行に、涙をため膝をつきます。
それにしても、タッパはそれほどではない、大河内がでっかい弁慶に見えるんですから…役者って凄いや。
美しいですね。
ラストは関所の主ーみな見抜いていた…藤田進の美酒に酔い、酔いつぶれたエノケン一人を置いて旅を続けます。これを黒澤ファンの用語で、藤田進の『裏切り人生の始まり』と呼びますf(^_^;
ラスト、飛び六法をふみつつ後を追うエノケン♪
しびれました。
追伸 黒澤が『オヤジ』と慕ったジョン・フォードは、この現場に感動し、黒澤明にメッセージを送りました。
まぁ、政府の関係で、暫し『お蔵入り』していた『不遇』な作品なのですが、黒澤明の異色作として、要注意です。
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