クソオンナのうたが聴こえる。
'12年末のFNS歌謡祭に置ける不死鳥の如き華々しい復活劇を持って、晴れがましいドヤ顔で新章の幕を切った華原朋美。
以降、良い加減食傷な"I'm proud"、あざとい恋愛系ゴシップ、逐次漂わす小室哲哉への未練、globeカバー強行、稚拙さを拭えないバラエティでの言動、総じて強く感じさせる過度な自己愛。
それでいて本筋の歌手活動ではカバーばかりと言う不甲斐なさを持って痛さの限りを尽くし、歓迎を持って迎えられたカムバックが嘘のように「痛女」として国民間でコンセンサスが取られてるトモちゃん。
一挙手一投足から漂う、筆舌尽くし難いめんどくささ。
こうして希代のシンデレラガールは希代のクソヲンナへ、と言うガッカリな着地に落ち着きを見せる彼女も気がつけばデビュー20周年。
紆余曲折を経て図太くもふてぶてしいやり手ババアに成り上がるまでのストーリーをダイジェストで楽しめる2枚組シングルコレクション。
パイオニア~ワーナー~ユニバーサルと、レーベルを跨いで総括されたオールタイムベストと言うのはそれだけで価値があるし、"here we are"や"華"など隠れた名曲に今再びのスポットライトが当たるのは嬉しい。
代表曲・"I'm proud"で絶頂を迎え、"たのしく たのしく やさしくね"辺りで暗雲立ち込め、完全にブッ壊れた"daily news"、病んだ"as A person"、電波少年企画から笑顔で帰国し、持ち直したかに見えた"Never Say Never"、ある種の禊を済ませた、かに見えた"あきらめましょう"、ユニバーサルと言う好環境で仕切り直しを図り今後に期待をさせられたカバー"あなたがいれば"、華原朋美自体にホントにさよならしちゃった"あのさよならにさよならを"、復活シングル"夢やぶれて"、と言う20年と言う女の一代記。
痛い女の作り方を知りたいなら、トモちゃんのこのベスト盤とシャーリーズセロンの「ヤング≒アダルト」と言う映画があれば完璧よ。
で、ベスト直前に切られるシングルとしては久しぶりのリリース物。
世のクソヲンナ好き毒女、及び鬼女に燃料を投下する「小室楽曲提供」と言う話題性にもよもや驚かないんだケド、こんなクソみたいなナンバーでもついつい聴けてしまう自分が死ぬほど悔しい。
90年代にTKサウンドに心酔し、歌い踊り踊らされた時分の記憶が蘇り、川島なお美の体にはワインが流れてるのと等しく間違いなくオレの体にはTKサウンドがフルボディで流れてるハズ。
そしてここまでプライベートと仕事の分別の付かない人間がこの世に存在するコトに感銘を受けつつ、逆に世間からのニーズがそれしかないのが予めわかった上での確信犯的な意味深な歌詞。そこにいちいち意識が行く自分も悔しい。
「ねぇ、はじまりのうたが聴こえる
あなたがいなくても 歩けるよ
やさしい記憶が 今微笑んで
旅立つことを 教えてくれた
遠い昔に 重ねた愛は
辿りつかずに 消え去ったけど
全てを失って 気が付くの
本当の強さと ぬくもりを」
これがせめて小室からトモちゃんへの、それ以上でも以下でもないエールであって欲しい。
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