TREASURE HUNT♯25 | EAT THE MUSIC.

EAT THE MUSIC.

とにかくそれが音楽と思しきモノなら
何でも聴いちゃう節操なき超雑食系男子が
日々どのような音楽を「喰らって」生きてるかの
しょうもない雑記です。
共に喰い散らかして頂けたら幸いです。

と言う訳で昨晩に続いて、コアなアイドルポップスファンからなら「え、今更?」と言う嘲笑と共に小石の一つも投げつけられそうな、注目のアイドル物を。
これだけアイドル群雄割拠の時代にちょっとやそっと可愛くてトークや所作でサービス出来て、勿論歌えて踊れて、なんてのだけではサヴァイブ出来ないご時世。

天下のAKB一味でさえこう易々と水着になったりセミヌードになったりと言う言わばB級仕事もこなしちゃう訳だし、一方では、オレの言葉で言う「音楽性でこそサヴァイブするアイドル」のピラミッドの頂点にはPerfume先輩と言う絶対的な存在が幅を利かせてる訳でしょ。

世間をアッと驚かすようなフックになり得るギミックなんて出尽くした感もあり、尚且つ「アイドルポップ」と言う枠内で許容され得る音楽的飛躍・音楽的遊び心の限界も見えそうなこの時代、
それでも必ず最後に残るのは「良い曲」と「それを賢明にパフォーマンスするキラキラした女子の姿」ならば、やはり言い訳も弱音も吐かず、楽曲のクリエーションでこそ競合他社様との色分けを図り、オンリーワンの個性を世に放つべきよね、と言う至極真っ当かつシンプルな所に立ち返ってのコトなのか、しつこいですが「音楽性でこそサヴァイブ」し、「音楽性」をこそセールスポイントとするようなアイドルが増える傾向にあるのは素直に嬉しい。
尚且つ単純にリリース量が増えりゃ、ソングライターやアレンジャー、プロデューサーなどバックアップする側でも、例えば今までアイドルの畑は通って来なかった方々が参入して来たり、予算があればこそビッグネームとの一種コラボレーション的なコトも可能になるなら好循環。
ソウルセットの川辺ヒロシやCMJKがハロプロと組んでみたり、田島貴男がNegiccoに楽曲提供なんて事件も現実に起きてる訳だからね。
これはまるで80年代にYMOやはっぴぃえんど、ティンパンアレー的な人脈がアイドルのソングライティングに関わってた古き良き歌謡曲時代、その様式美の復権にさえ見えます。

更に言えば「ポップミュージック」と言うモノがそもそもそうだケド、下世話かつ無節操に今昔・東西のありとあらゆるアプローチやサウンドのアイディアを掛け合わせ、折衷に折衷を重ね、で、結局最終的に世界のどこにも見当たらない一つの大きなグルーヴに結実する様は感動的ですらあり、取り分けアイドルソングと言う大鍋の許容範囲のデカさは「世界が羨む」レベルのハズ。

最初は何処かの広告代理店が勝手にブチ上げて、オレの預かり知らない所での盛り上がりに鼻白んでた「アイドル戦国時代」などと言う恥ずかし過ぎるキーワードも、でもこちらに粗製濫造を見分ける目さえあれば、パイの中から素晴らしくキラリと光るアイテムに巡り逢えてしまう確率がまず増える訳だし、「パッケージングさえ『アイドル』ならソフトは何でも良いゼ」と言う不甲斐ない状況さえ、だからこそケガの功名的に「アイドルソング」の定義やマナーその物が日夜更新され続けてくようなこの状況は痛快過ぎる。

「アイドルのくせに」と言う枕言葉が最上級の賛辞になり得る、アイドルのくせにカッコ良いコトしやがるアイドルたちの群雄割拠はもっともっとありがたがるべき事象だと思います。

けして旬がそう長くないのはみんなどこかで理解してるコト。やがて訪れる二度目の「冬の時代」にナイスなクラシックとして語り継がれるべき「生けるレジェンド」の産声、その呼吸が耳を澄ませば聴こえるのは今しかないのだから。

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Especia"DULCE"

Negiccoに並んで、今心あるアイドルソングマニアから絶大な支持を集める大阪は堀江発の次世代ユニット。
'12年に活動をスタートさせ、幾度かのメンバーチェンジを経て'15年現在は5人組。

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で、本作は'12年に発表されたインディーズデビューEP。当初はタワレコ新宿店限定だった後に一般流通へ。本作収録のいくつかをYouTubeであれこれ探し回った所凄まじくハイクオリティなクリエーションばかりで、どうしよう、とりあえず今んとこ駄作と言うモノが見当たらない。

彼女らが標榜するのは、このEDM全盛の時代の真裏を行く生音感強めのソウルファンク。間違いなくオッサンをこそ踊らせ、高揚させるグルーヴに中毒者続出中。

取り分けお気に入りは本作の実質リードトラック扱いで、ネット界隈でザッと調べただけでも推薦の声がそこかしこに転がってる名曲・"ナイトライダー"がちょっとタダゴトじゃないクールさ。

これまでのアイドル×ディスコの金字塔を挙げるならば、間違いなくモーニング娘。"笑顔YESヌード"、極力下世話さや歌謡曲的な湿り気を排除したオーセンティックさで言えばTomato n'Pineの"ワナダンス!"が思い出されますが、これはもうそこさえ易々と飛び越えそうな本格感。

オールディーズなダンスミュージックにはちょっと一家言あるわよ的な玄人ジジイさえ、このタフでファットな音選びとオーセンティックな聴き応えにはイントロだけで黙らせられるレベル。
近年、現行の所謂純クラブミュージック界隈でもニュージャックスウィング的な盛り上がりって目覚ましいモノがあるとおもうんだケド、そんな「レトロ狙いなのにオントレンド」と言う点も実に巧妙。

所謂「打ち」たくて現場に通うヲタ的には大丈夫なの?と、要らぬ心配もしたくなるゆったりとレイドバックしたローなBPMからしてかなり意識的に時代へのカウンターを仕掛けて来てるのもわかる。
サウンド面を担うのはSCRAMBLESと言う音楽制作プロダクションのSchtein&Longerなる方々。名前覚えとこっと。

更にはボーカルもなかなかに達者。一人凄く良い声の娘がいるっぽくて、NJSなテンポ感もあいまってなのか勝手にZOOのボーカリストのお姉さんがダブる。
そうそう、新喜劇の島田珠代に似てる人ね。

他のナンバーをディグっても、絶妙にエイティーズっぽいキラキラシティポップ・"No.1 Sweeper"や、しっとりと切ないアーバンなミディアム・"Bay Blues"などがお気に入り。

勝手に予想すれば、明らかにこれらがAKBのシングルの何分の一かの予算で仕上げちゃってるんだろうから、それって随分凄いコトよ。
で、予算の少ない低知名度アイドルには良くあるコトですが、めちゃくちゃカッコ良いキラーチューンが単なる偶然決まった奇跡のサービスパンチでしかなかったと言うのは悲しいケドよくある話。
"ナイトライダー"以外にもこれだけ安定感のある傑作が揃い踏みなら、既にちょっとしたブランド。
良い曲を量産して、量産した暁にはブランディングする。その大切さこそ後発がハロプロから学ばなきゃいけない点よね。

ちなみにこのEspecia、今月には早くもビクターよりミニアルバムでのメジャーデビューが決定。

このEspeciaの躍進で一つ気掛かりなのは、東京女子流。
女子流ちゃん、ウカウカしてらんないわよ。

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Faint★Star
"koboreteshimattamizunoyouni"

一方ではそんなEspeciaやNegiccoの目覚ましい活躍に、うーん、でもそこは本来Tomato n' Pineが居なきゃいけない位置じゃない?と言う憤りも確かなモノ。

で、そんな今はなきトマパイのHINAちゃんと新しい相棒・YURIAちゃんによる新ユニットがコレ。
ソングライティングからプロデュースまでバックアップは引き続き玉井健二率いるagehaspringsが担っていて、キラキラのポップソングとして一定の評価の価値のあるナンバーを既に幾つか世に放ってくれてはいるんですが、オレ含むいつまでも「トマパイの幻影」を追う厄介なファン的にはどうなんでしょう、コレ。

何て言うか「キッチュさ」が薄いんだよね。アゲハ的にはどちらかと言うと元気ロケッツに近い、所謂アタックの強いエレクトロハウス×加工されたボーカル、と言う目新しくなさ。

その反動なのか今月リリースされたばかりのセカンドシングル"フィルム!フィルム!フィルム!"は渋谷系っぽいラウンジポップ。こちらのが好み。

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Faint★Star
"フィルム!フィルム!フィルム!"

タイトルにもフリッパーズオマージュを律儀に塗してくれてるし。
ただそんなオマージュも含めアゲハ的にはこれでアベレージに見えるから大変よね。

これだけ安定感のあるアイドルポップにケチをつけるのも罰が当たりそうなぐらい良質ではあるハズなんで、フルアルバムぐらいまで様子見しましょうかね。



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