RESEARCH WORK♯19 | EAT THE MUSIC.

EAT THE MUSIC.

とにかくそれが音楽と思しきモノなら
何でも聴いちゃう節操なき超雑食系男子が
日々どのような音楽を「喰らって」生きてるかの
しょうもない雑記です。
共に喰い散らかして頂けたら幸いです。

早いもんで、もう8月。

体内カレンダー的にはまだ全然5月ぐらいの勢いなんで、この暑さに身体が全く対応出来ておらず、早めの夏バテなのか、遅めの五月病なのか、或いは早めの更年期なのか、遅めの反抗期なのか、もう何だか訳がわからない程絶不調。

だからこそ聴く音楽で夏気分を軽やかに演出したい所。

と言う訳で、連日の反吐が出るような猛暑に頭がやられ気味なここ数日、オレの心のオアシスとして非常に重宝してるこのお方のこの楽曲を軸に、リサーチワークを。

語り散らかして参りましょう。

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矢井田瞳
"Look Back Again / Over The Distance"

先月久しぶりにハマッた"Life's like a love song"に続いて、何故か今矢井田瞳ブームな最近。

高らかに元気いっぱいジャンプするヤイコのお姿が何とも癇に障るジャケが印象的な本作は、'01年リリースの4thシングル。

思えば矢井田瞳の全盛期って、ちょっとした森口博子の全盛期ぐらい短かったように思うんだケド、本作は何気に彼女の最大セールス作でまさに全盛期のヒットシングル。
あの頃矢井田瞳を聴いてた人々は何処行っちゃったんだろうか?大塚愛とかYUIとかに流れたのかなあ。

オレとしてもなんでまた今矢井田瞳なのか謎なんだケド、だからこそ今この日本でオレが矢井田瞳のコトを一番好きな自信があるわよ。

で、古くは明菜や聖子、或いは浜崎あゆみ然り、宇多田ヒカル然り、安室奈美恵然り、後藤真希然り、華原朋美然り所謂ディーバと呼ばれるショービズ界の「クソオンナ」たちに強く惹きつけられる傾向にあるオレにあって、基本的にディーバ足る者業を背負い、宿命に喘ぎ、かつタフでビッチであればある程オレなんかの餌食として格好の「慰み者」たり得る訳なんだケド、
それで言うとこの矢井田瞳。驚く程に業や性と言うモノが感じられず、良く言えば「フラットさ」悪く言えば「浅ささ」「薄っぺらさ」が魅力的、と言う結論にこの程到達致しました。

今まではそれこそがオレに矢井田瞳への強い感心を向けさせない敗因だったんですが、その彼女の代表曲・"Look Back Again"を病気のようにヘビロテしてるここ数日、その信じられないぐらいの薄っぺらさ・フラットさに「矢井田のこの浅さって逆にスゴくね?」「逆に深くね?」と評価を一転。
この底知れぬ浅さに戦慄さえ覚えました。
「底知れぬ浅さ」なんて妙な表現ですが、まさにそんな感じで、寧ろこのアンビバレンスな語彙力が我ながらオシャレ。

もっとも、オレが知る限りの全矢井田作品を総括してランク付けするなら、"アンダンテ"と言うシングルのカップリング所収・トレイシーチャップマンのカバー曲"fastcar"が群を抜いてベストトラックなんだケド、
ああ言うナイーヴかつ超鬱な楽曲がしっくり来るのは間違いなく彼女の根暗なメンタリティに裏打ちされてのグルーヴなハズ。

アラニスモリセット以後と言われていた時代、「怒れる歌姫」ブームの潮流から出て来た彼女も初期は無闇にアッパーなアプローチが目立っていたんだケド、取ってつけたような「気風の良いナニワのねえちゃん」的な打ち出しに徐々にシフトしつつ、でもそんなキャラクタービジネスを推し進めれば進める程、真裏にある根暗さとのギャップ・違和感に妙な歪さを感じさせ、結果的にはそこからハミ出る「浅さ」こそ、オレに取っての音楽的フックになった、と言う非常に良く出来た話よ。

まあ、ここまで意地の悪い批評をしてやるコトもないんだケド、
言い換えれば「普通」なんだよね、矢井田瞳って。ディーバ或いはシンガーソングライターとしては失格スレスレな程、普通なのよ。
でもそんな、あくまで普通に恋愛したり普通に仕事を頑張ったり、普通に夢を描いたりするような、都内在住の20代OLたちの心を強く捉えたのでしょう。
あれだけ濃ゆい女性ミュージシャンが鎬を削る時世に非常にニッチな存在だったのよ。

で、余談はこの辺にして話を"Look Back Again"にルックバックすると、明るくポジティヴなメッセージとメロディアスなコード、誰しもノリ易いビート、アッパーかつ素っ頓狂なボーカル裁き、凡ゆる普通な仕掛けが普通にストレートに響く様は、古くは小泉今日子~森高千里~hitomiに至るまでの一種ウーマンリブ的思想の薄味現代版と言うような取るに足らない趣きが眩しい。
矢井田自身が「普通の女の子」だからこそその辺の「普通の女の子たち」への扇動力として機能したハズ。

オマケにタイアップは資生堂の当時のメインブランド「ピエヌ」な訳だからね。
一番調子に乗っていた頃の伊東美咲が懐かしい。

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「チラリズムでキラリ」

と言うコトは、この「普通さ」は寧ろ広告代理店をも巻き込んで作り上げられたモノだと推察出来る訳だから、この薄っぺらさに宿る鉄壁のコマーシャリズム、その空虚さにも合点が行くわよ。

つまり、スイーツの魁よ。

それにまんまと気分を高揚させられてる自分が非常に悔しい。

そして、根深い業や性とは違う、日常普通に起こり得る「普通に嫌なコト」を頑張って乗り越え、平穏に楽しく普通に過ごしたい今のオレに取っては格好のBGMよ。
それこそがポップミュージックとしての良質さ、の証明かも知れない。

「普通」。
今はそれが一番求め得ない時代なのかも。だとしたら随分シニカルな話よ。

ちなみに両A面片割れ・"Over The Distance"は「遠距離恋愛」をテーマにした、ピアノ主体の仰々しいバラードナンバー。
こちらも「普通に」良い曲です。





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