PLAY LIST♯137 | EAT THE MUSIC.

EAT THE MUSIC.

とにかくそれが音楽と思しきモノなら
何でも聴いちゃう節操なき超雑食系男子が
日々どのような音楽を「喰らって」生きてるかの
しょうもない雑記です。
共に喰い散らかして頂けたら幸いです。

今月は何となしに、渋谷系っぽい作品を取り上げるコトが多かった気がします。

ストレスが多過ぎて、頭がサニーサイドになっちゃってる危険信号かも。
ヤヴァい。

以前は鬱な時期になると、わざと悲しい痛い系を聴いて耐え忍んでたドM特性のあるオレ。

ストレスや不平不満も対応能力の限界を超えると、こう、バカみたいに明るくてポップな作品に向かうと言う、初めての体験。

こんにちわ、新しい私。


カジヒデキ"MINI SKIRT"

所謂渋谷系トレンドとは重ならないのかも知れないケド、サニーサイドなバカポップスと言えば忘れてはいけないこのお方。カジヒデキ先輩。

'97年発表。フルとしてはファースト。
オレが唯一所有のカジ君で、同じような方も多かろうコトでしょう。
なんせ、当時オリコン4位と言うヒットアルバムだもの。

オレとしては一時期、SUEMITSU&THE SUEMITHに流行り病みたいにハマッて、他にもこんな感じのモノはないかしら?と思案した結果の購入。
だから、多分5年前ぐらい?

基本的にネクラで、どんなに天気の宜しい休日でも遮光カーテン必須で眠ってたいヒカリゴケのようなオレ。

ちなみにウチの姉は、行かず後家。

そんな我が家に似つかわしくない、バッカみたいにご陽気でご機嫌極まりないキャッチーソングの数々に当時面食らい、悪くはないんだケド、今はちょっとちがうかな?と温めておりました。

で、それとは別軸で、YouTubeで懐かしのテレビコマーシャルを色々見ていた所、90年代のキユーピーマヨネーズの数々の名作に、懐かしさ補正も手伝って夢中に。

ご存知ですか?あの頃のキユーピーCMのスタイリッシュさを。

市川実日子、HIROMIXなど当時のサブカルクイーン的な、まあ言って見れば「ブスカワ系」のアイコンちゃんたちがお洒落に決めて、お洒落な音楽とセットとスタイリングで跳ね回る、全く持って「オリーヴ」な世界観。



商品の説明は皆無で、みんな頭の中がサニーサイドになっちゃってた90年代と言う時代だからこそ許されたクオリティだったと思うんですが、
山田麻衣子ちゃん出演バージョンのバックに流れてたのが、カジ君の名曲"ラ・ブーム~だってMY BOOM IS ME~"のイングリッシュバージョンだったのでした。

で、ああ言う取ってつけたような洒落くっさい世界観が大好物なオレは、ちょっと前に購入したショコラ、先月良く聴いていたHIROMIXのアルバムに続いて、このカジ君のアルバムにも今更ながらにどハマリ。

もうなんか、むず痒いぐらいにキュートでキャッチーで軽薄な、こそばゆいポップソング乱れ打ち。

カジ君の良く言えばイノセントな、悪く言えば垢抜けない芋クセえボーカルがこの上なく清々しい。

ズバ抜けたポップネスを発揮する、前述した先行シングル曲"ラ・ブーム"をはじめ、ローファイでスカスカした質感と、そのサウンドスケープの中で一際瑞々しい優等生的なピアノの音色がやはりキー。

弾けてそうで、でもどこか憂いを微かに感じさせるスウェディッシュサウンドは、これぞタンバリンスタジオ品質。

独特の温かみと、弾力のある音。

ボニーピンク~原田知世好きなオレは気に入るべくして気に入った音楽よね。

他、個人的にお気に入りは"ウィークエンダーズ"とか、好きっす。

後年、映画「デトロイトメタルシティ」で一モチーフとして使用され再評価の兆しをチラリと見せたものの、全て松雪泰子の怪演に掻っ攫われた印象。

それだけカジヒデキがアイコニックな音楽をやってるってのを裏から証明してるってコトなんだろうケド、
あんな悪意のあるタイアップだけでは語り尽くせない魅力を是非「DMC新規」と共に、オレも勉強しなくてわ。
オリーヴ調査隊的な。

少なくとも、ただ気の抜けたポップスではない、パンクなオルタナティブ系ロックに対する反骨精神、その、逆にパンクな姿勢をこそ、この優等生な「お洒落な」音から嗅ぎ取りたい。


SUEMITSU & THE SUEMITH
"The Piano It's Me"

で、末光姉さん。いや兄さん。'07年発表のメジャーファーストアルバム。

「ピアノロック」を標榜する通り、気持ちの良いクラシカルで流麗なサウンドと、荒々しいバンドサウンドがミックスされた世界観は、星村麻衣ちゃんもビックリ。

骨太な聴き応えの良さ・ノリの良さと相反して、アニメやテレビドラマなどのタイアップに引っ張られた影響は多分にあるにせよ、J-POPとしても機能する親しみ易いメロディーラインの心地良さが最高のマッチング。

ボーカルも朴訥として素朴で、カジヒデキ的イノセンスともリンクする部分があるかも。

お気に入りはやはり、どこか切ないメロディーと、元スーパーカー・いしわたり淳治による「働くOL」的な歌詞が筆舌尽くし難い哀愁を感じさせるミディアム"Astaire"や、
音数の多いボコボコしたイントロから一気に引き込まれる、アッパーな爆音ピアノロック"Allegro Cantabile"のノリの良さ。

アルバム曲なら"Saga"、"Sonatine"、"100 Strawberries"なども佳作。

後に木村カエラ"Butterfly"が大ブレイクしたり、安藤裕子なんかにもなかなかの良作を提供してるあたり、ポップなメロディーを作れて、かつ泥臭くならない塩梅に仕上げられる稀有な職人気質。
それは、このメジャー1枚目でも十分堪能出来る。