11日目、ガスが充満していて知覚が鈍る。
ハテグ=クラ登山、最終関門。
標高差1,000m以上の、 巨大な岩と氷の鋭鋒を登ることとなる。
進行する度にルートファインディング。
氷点下の世界のはずなのに、体が燃えるように熱い。
たまらずリサは身を護る服を脱ぎ始めてしまうだろう。
それを見た竜二が慌てて介抱して正気を戻す。
デナリーの避け得ぬルート上に、
まるで綱渡りのようなか細い道が立ちはだかる。
ここを通過するには極めて高度なバランス感覚が必要になるだろう。
少しでもバランスを崩せば大滑落は免れない。
デナリーがかなりの勢いで墜落![]()
幸運なことに支点はなんとか耐える。
様々な試練を乗り越え、遂にリサたちは登頂を果たした![]()
推定標高は 16,000m をゆうに越える、未知なる領域。
手を伸ばせば、宇宙にも届きそうなその頂。
分厚い空気の層に阻まれて、
既に下界の地表を視界に捉えることもできぬほどの高さ。
ここは正真正銘、神々の世界だ。
無論、既にリサは分かっている。
ここは現実には存在しない山だ。
これは一夜の夢。
目覚めれば、この凍てつく未知なる山嶺は、
誰にも知られることのないまま姿を消すのだろう。
一緒に登って来た仲間たちとも、ここでお別れで、
リサの登頂を証明するものは何も残らない。
リサの山への渇望は、満たされたのだろうか![]()
それとも
山頂に扉が開く。
あの忌まわしき這いよる混沌が用意した、現実世界に帰るための扉が。
現実に戻った登山家たちは、本来自分が登っていた山で目を覚ます。
リサはテントから出ようとする。
外は白い嵐と呼ばれるアンデス地方特有の悪天候に見舞われていた。
今までの彼女であれば天候が回復すれば登山再開するが、
何だか帰りたくなってしまった。
この不思議な登山をまず親友に話したかった。
そして竜二や山登、デナリーにアポ取って会うのも楽しいかも![]()
この世界ではコージー・オスコーは生存しているから
こんな話しても信じてもらえないだろうが、
とにかく誰かと登山したくなったのだった。
