男と女の恋愛作法や心の機微を、
平安女性はどのようにして学んでいったのでしょうか。
現代の少女たちが、少女向けの小説などから
恋愛について知るように、平安時代の少女は、
乳母や女房が語る物語から、恋愛を学んでいました。
内容はホラーやラブロマンス、継母が子を虐める物語が人気で、
これも現代とあまり変わらないようです。
主人公の少女が母親を亡くし、やってきた継母にいじめられ、
その後、素敵な男性が現れて結婚する…
まるでシンデレラのような物語が、
千年前の女性達にも人気だったというのですから、
女心はいつの時代も変わらないものかもしれません![]()
王朝少女の胸をときめかせた物語に「竹取物語」があった。
この日本最古の物語、
竹から生まれたかぐや姫の物語は「源氏物語」でも、
「蓬生」、「絵合」の帖で登場している![]()
橘の花は過去をしのぶよすが
橘はミカン科の常緑低木です。
初夏に白い花を咲かせ、
秋にはゆずに似た香りの小さな果実をつけます。
その可憐さが王朝人に好まれ、また、
過去の出来事や亡くなった人をしのぶよすがとなることもありました。
後の「花散里」の帖では、源氏が桐壺帝のお妃の一人、
麗景殿女御の邸を訪ね、亡き父帝の思い出をしのびます。
ここでは橘がストーリー展開に重要な役割を果たしています![]()
橘の花。
橘は日本に古くから自生する
唯一の柑橘類と言われている![]()
橘の実。
橘は万葉集にも登場するが、
花や香りについて詠んだものがほとんどで、
食用にされることはなかったようだ![]()
四季折々の花にラブレターを結んで
男女が直接会って話をする機会がほとんどなかった平安時代、
恋愛が芽生えるのは手紙のやりとりからでした。
恋愛成就させるために、王朝人は、
相手の印象に残るラブレターを送ることに心を尽くします。
消息は「折り枝」といって、季節の草木に文を結び付け、
使いの者が届けましたが、どんな草木を選ぶのかも、
重要なポイントでした。
また、料紙も草木の花屋葉の色に合わせて、
藤の花には紫の料紙を、白梅には白い料紙を…
と細やかに心を配ります。
選んだ草木と手紙に書かれた和歌の内容が一致することも、
センスの良い消息の条件です。
書かれた和歌の巧さ、書の美しさ、料紙と草木の色の調和から、
相手のセンスや美意識をはかり、その人となりを判断したのでした![]()
配色の合わない消息を送ると失笑を買ったり軽蔑される。
源氏の子、夕霧は、
刈萱に紫色の料紙を合わせて送ろうとして、
枯れかけた緑と紫の取り合わせを女房達にたしなめられた![]()
