漫画家。芦原妃名子さんがお亡くなりになりました。

ご冥福をお祈りいたします

 

 

私は原作漫画もドラマも見ていませんし、ネットであれこれ言われている事柄に関して何が事実かもわかりません。

この件で最も納得いったご意見は、漫画家・里中満智子先生の以下のお話です。一部抜粋してご紹介しますが、ぜひ全文お読みください。(青字で私のコメントを記します)

 

 

――ご自身の作品も、『アリエスの乙女たち』(1987)『鶴亀ワルツ』(1998~99)などドラマ化されていますが

 

 出来上がったドラマは原作通りではなかったけれど、原作が持っているメッセージを伝えたいという気持ちが見えたので、楽しく拝見しました。

  私は、たとえ表現方法は変わっても、原作の芯の部分は伝えて頂けるだろうと、映像のスタッフさんを信頼したいタイプなんです。作品の世界をきっちり守る考えの漫画家さんからは「丸投げじゃないか」と言われるかもしれませんが、どっちがいいではなくて、作者によって違うし、同じ作者でも作品によって違うこともあります。みんなが納得できる理想形は、一つの作品ごとに関係者たちが模索して、築いていくものだと思います。

  だからこそ、映像のスタッフさんには、是非、ご自身が好きだと思う作品を二次創作して頂きたい。みなさん、お仕事だからいろいろなことを考えなきゃいけないのでしょうけど、「これだけ人気の漫画を実写化すればヒットするだろう」とか「原作のおいしいとこだけつまみ食いしよう」とか、そんなことだけを考えていらっしゃるとは思いたくないです。

>「これだけ人気の漫画を実写化すればヒットするだろう」とか「原作のおいしいとこだけつまみ食いしよう」とか、そんなことだけを考えていらっしゃるとは思いたくない

 

いや、多分そう考えてますね。

里中先生のマンガがドラマ化された頃は、テレビ局のスタッフにもプロとして良い作品を作ろうという意欲があったのでしょうが、残念ながら今現在のテレビ局にはそんなプロ意識は無いと思われます。

 

 とはいえ、スタッフがいくら真摯な思いで取り組んでいても、原作者の希望に沿えない場合もあります。映像作品というのは非常に多くの人が関わるので、さまざまなファクターが加わってくるんですね。たとえば、芸能事務所の意向があるのでこのキャストの見せ場は削れないといった事態も起こり得るので、「原作者が提示した条件を守れない場合は誠意をもって解決策を探る」といった内容も契約書に盛り込むべきです。

  亡くなられた芦原さんは、ご本人のコメントを読む限り、そのあたりも十分注意して条件を提示されていたようですが、結果的に守られなかったのだとしたら、とても残念なことです。

 

日本にはまだ欧米の様な「契約」文化は根付いていないのでしょう。日本のマンガが世界中に認められるようになってもなお、テレビ局や出版社は漫画家を下に見ているように感じます。

この点について漫画協会理事長でもある里中先生は次のように述べておられます。

 

 著作権法で、原作者の権利はきちんと保障されています。何もないところから何かを作り出す人は強いんですよ。だから若い方々も誇りを持って、「私の希望はこうです、できないんだったら映像化はお断りします」と、堂々と言って頂きたい。ときには、「ここで逆らったら二度と描けないよ」って脅かしてくる、とんでもない人もいるかもしれない。でも、どうかだまされないで頂きたい。

  映像作品の制作陣は大所帯ですが、漫画の原作者は基本的に一人です。それに、創作の世界に没頭して、一般常識とはまたちがった基準で生きているクリエイターの中には、誰かと密にコミュニケーションをとることや、何かを相談したり物申したりすることが苦手な方もたくさんいらっしゃる。だからこそ出版社の方には、ぜひとも一人ひとりの漫画家を守り、支えて頂きたいと思っています。

 

今回テレビ局の対応が問題視されてますが、出版社にもおかしな点があったのでは?何より漫画家を守ろうという姿勢が見えないのですよね。

 

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私も里中先生の仰るように、アニメ化であってもましてや実写ドラマ化されたものはあくまで二次創作物だと思っています。見る人、関わる人によって違いが出るのは当たり前です。多分今回の件もこんな最悪の事態に至った要因は、ドラマの表現に関することだけではなかったのではないかと思います。

 

これを機会に漫画協会にも頑張っていただいて、【例えば野球の大谷選手のように】キチンとした契約書を交わし原作の使用料もドーンと高くして、子供たちの憧れの職業に漫画家が成るといいなと思います。