●マッドゴッド
2021年 アメリカ
「スター・ウォーズ」「ロボコップ」「スターシップ・トゥルーパーズ」などの特殊効果を手掛けた巨匠フィル・ティペットが、神となって暗く狂った世界を創造した。暗殺者(アレックス・コックス)が下へ下へ、弱肉強食の無法地帯をどこまでも深く降りていく。奴隷人間や獣が働かされ新たな奴隷を作り出すシステムのようなものがある。しかし世界を発展させるようなものではなく、同じことを繰り返しながら劣化していく。初めはこの地獄絵図を(すごい仕事量だなあ)(よく作り込んであるなあ)と職人技に感嘆して見ていたが、物語の世界に没入すると、その不条理、希望の無さに気持ちが暗くなる。これはある程度元気でないと見られない。監督自身、ハリウッドが手仕事よりCGに傾いていく様を見て鬱状態になり、本作の制作を続けられなかったらしい。
悪夢のような映像を見ながら、北朝鮮や中国、アフガニスタンなどを連想した。そして日本も、税金が使われるべきところにきちんと到達せず反日左翼団体に中抜きされたり、GHQが押し付けた暫定的な憲法の改正よりLGBT法案にかまけていたり、こういう不条理を放置していたら、と想像して寒くなった。
●クリーチャー・デザイナーズ ハリウッド特殊効果の魔術師たち
2022年 フランス
映画史に残る数々の名作に登場するクリーチャーやモンスターたちと、彼らを生み出してきたクリエイターたちの関係性に迫ったドキュメンタリー。
メリエスの「月世界旅行」に出てくる巨大モンスターや、ボリス・カーロフが演じるフランケンシュタインの怪物など、古くからアイデアと手仕事で空想が映像化されてきた。日本のゴジラも、着ぐるみというシンプルな手法でもモノクロの映像が迫力を増し、本作に登場する有名クリエイターたちに大いに影響を与えたそうだ。
職人技が発達していく様は見ていて楽しい。「ハウリング」と「狼男アメリカン」という似たような作品が同時期に制作公開された辺りの話もおもしろかった。どちらも物語としておもしろいのだけど、進化した特殊メイクの技術を見てくれ!という印象が強い。
時間と費用がかかる手仕事の代わりに、コンピュータが発達してCGが用いられるようになったが、CGもただ機械任せでは生き生きしたクリーチャーを作ることはできない。ティペットの知識と技術無しに「ジュラシック・パーク」は完成しなかったという。「ターミネーター2」も手仕事とCGの融合だというので驚いた。
スター・ウォーズ Ep5のヨーダはいかにも老師という感じだった。Ep2のやたらクルクル激しいアクションをするヨーダには違和感を抱きつつ、Ep5より若いからと解釈したが、本作でフルCGによるヨーダには賛否両論という話で合点がいった。
今後も映画界が手仕事を忘れずに発展していってほしいと思った。