ステロイド吸入薬を使用した後「うがいをする」理由、知っていますか?
 
吸入後の「うがい」は、『口腔内に残ったお薬を除去するため』に行います。
除去しないと、『口腔内カンジダ症』や『嗄声(サセイ)』などの副作用が発生してしまうため、吸入後は「うがいをする」のです。
 
『口腔内カンジダ症』は、口腔内に付着した「ステロイド」が免疫を抑制してしまい、もともと口腔内には常在している真菌のカンジダが繁殖する副作用です。
「舌や口の中の粘膜の痛み」と「味覚異常」が主な症状です。
 
『嗄声(サセイ)』は、発生機序は不明で、「声が嗄(か)れる」「しわがれ声」のことです。
 
ステロイド吸入剤は肺での局所作用を目的とした薬剤なのですが、ほとんどは口腔咽頭に残ります。
①ベクロメタゾン(エアゾール)・・・口腔咽頭:35%、肺:58
②シクレソニド(エアゾール)・・・口腔咽頭:32.9%、肺:52
③フルチカゾン(エアゾール)・・・口腔咽頭:77%、肺:16
④ブデソニド(タービュヘイラー)・・・口腔咽頭:57.9%、肺:27.7
 
ですので、口腔咽頭に残りやすい吸入薬は「うがい」をしないと副作用を発現する確率は高くなります。
「うがい」では肺に入ったお薬は取れませんので、思う存分「うがい」をしましょう!
ちなみに「うがい」をするときは、クチュクチュとガラガラをすると効果抜群です。
 
では、高齢者など「うがい」ができない場合はどうするか?そういう方もいると思います。
その場合は、「吸入後飲み物で口を漱いで嚥下をする方法」があります。
また、それでも困難な場合は「食前に吸入する方法」、「口の中に唾液をためて吐き出すことを3回繰り返すという方法」もあります。
 
吸入後の「うがい」に困った人は、薬剤師に相談しましょう!
 
参考資料:
RP.+ 気管支喘息・COPDの吸入剤(2018 冬 Vol.17 No.1
参考URL
『私は走るのが苦手で、マラソンなんて大の苦手です。でも、逃げ足だけは早いんですよね。』
 
なんて人、いると思います。私もそんな一人です。
学生時代のマラソン大会で常に上位をキープしていた、あっ、後ろからね、私ですが、ホント、マラソン大会なんてなければいいのに!(必死)と思っていましたね。
 
マラソンが得意な人の筋肉は、短距離が得意な人の筋肉と少し違います。
 
まず、人間には3種類の「筋肉」があります。
①骨格筋(随意筋で横紋筋):手や足などを動かす筋肉
②内臓筋(不随意筋で平滑筋):血管や内臓の筋層を作る筋肉
③心筋(不随意筋で横紋筋):心臓を収縮させる筋肉
(ちなみに、「随意筋」は、自分の意思で動かすことのできる筋肉で、「不随意筋」は、自分の意思で動かすことのできない筋肉です。)
と言うことは、走るときに使う筋肉は①の「骨格筋」となりますね。
 
次に、人間は走るとき「骨格筋」の『速筋』と『遅筋』の2つの種類を使いながら走ります。
『速筋』は、伸び縮みするスピードが速い筋肉ですが、疲れやすい特徴があります。
素早く動かすことの多い「指の筋肉」などがこれで、白っぽいので「白筋」とも呼ばれます。
『遅筋』は、スピードは遅いですが、長時間伸び縮みをすることができる筋肉です。
姿勢を保つ「背中の筋肉」などがこれで、酸素を蓄えるタンパク質を多く含んでいるため赤く、「赤筋」とも呼ばれます。
(魚も同じで、白身(ヒラメなど)は『速筋』、赤身(マグロなど)は『遅筋』を多く含みます。)
 
人間には『速筋』と『遅筋』の割合はほぼ半分ですが、人によってその割合は異なります。
実際、短距離走者は『速筋』の割合が多く、マラソン走者は『遅筋』の割合が多いといわれています。
ですので、『速筋』の割合が多いと「短距離」に強く、『遅筋』の割合が多いと「マラソン」が得意、となります。
『速筋』と『遅筋』は、練習で鍛えることができるため、マラソンが苦手でも練習次第で今より速く走ることができます。
筋肉の世界でも、苦手な部分はやはり「練習あるのみ」ですね(><)
 
マラソンが苦手な方は、ぜひ『遅筋』を鍛えましょう!
 
参考資料:
やさしくわかる 子どものための医学 人体のふしぎな話365(ナツメ社)
ぜんぶわかる 人体解剖図 (著:坂井 建雄・橋本 尚詞)
参考URL
今年4月から『お薬手帳』が厳しくなります。
 
『お薬手帳』を持たずに薬局に行くと「次回は『お薬手帳』を必ず持ってきてくださいね!!」と、今まで以上に強く言われると思います。
今まででも「また『お薬手帳』持って来いか。しつこいなぁ。」と思う方もいるとは思いますが、さらに五月蠅くなるとしつこいどころではなくなるかもしれません。
ではなぜ厳しく言われるようになるのか?
 
今年平成30年は「調剤報酬が改定」される年です。
「調剤報酬改定」は、保険を適正に、かつ時代に合った使用をするために行われる、日本の医療費や診療内容に大きく影響する医療保険制度の根幹をなす仕組みの一つです。
(今回、平成30年度の改定は診療報酬(医科・歯科・調剤)の他に、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の改定も行われます。)
その調剤報酬改定の中に『お薬手帳』に関する改定が行われます。
 
お薬の値段は、「お薬そのものの値段(薬価)」以外に『手数料』みたいなものが取られているのはご存知だと思います。
その『手数料』は患者さんの希望や薬局の対応・状況に応じて変化する部分で、一包化したり、ジェネリックに変えたり、そして『お薬手帳』の有無でも変化します。
 
うちの薬局では、今までは、
6か月以内に再度処方箋を持ってきた患者さんが、お薬手帳を持ってきたときは薬剤服用管理指導料が50点から38点となり、全体で120円、3割負担だと自己負担が40円安くなる。」
でしたが、今年4月からは(実際は1年の経過措置があるため平成3141日からの適応。)、
お薬手帳の活用実績が50%以下となる薬局は、薬剤服用管理指導料53点(3点増えます。)を算定できず、6か月以内に再度処方箋を持ってきた患者さんが、その薬局を利用すると、代わりに『薬剤服用管理指導料の特例』13点を算定される。
に変わります。
 
・・・と言うことは、お薬手帳の活用実績が50%以下の薬局の方が医療費や患者さんの自己負担も減るため、いいのでは!?と思いますよね。
 
しかし、国は『お薬手帳を活用しよう!みんな持ってね!』と言っています。
 
『お薬手帳』は普段服用しているお薬を一目で見ることができるため、医師や薬剤師はお薬の「重複投与」や「飲み合わせ」を確認でき、患者さんは「的確な医療を受ける」ことができます。
また、震災の時などには自身が負傷して何もできない状態でも「服用情報を自身から発信」することができ「自身の身を守る」こともできる、とても大切な手帳だということは以前お話ししました。
さらに、『お薬手帳』を持参すると年間40兆円以上もある「国の医療費」の「削減」にもつながり、国民全員が支払っている税金や保険料を「無駄なく使用できる」メリットもありましたよね。
 
これからの薬局像は『「対物」から「対人」』『「門前」から「かかりつけ」』への業務を目指すため、国は地域医療に参加・連携・貢献している薬局や、かかりつけ薬剤師などを今まで以上に評価していきます。
そこで、患者さん本人の情報を一元的・継続的に把握する必要があり、『お薬手帳』は「個人の服薬の情報源」としてとても重要なものとなります。
もし、お薬を飲んでいる人が『お薬手帳』を持っていないと、自身で統一した服薬情報を地域医療に発信することが難しくなり、医療機関側も重複投与や相互作用を考えずに対応してしまう危険があります。
 
薬局の役割は、自身が儲かることが目的ではなく、地域医療の薬学的な部分を担うことが目的であり、これからの医療を考えるうえで『お薬手帳』は特に重要となるため、国は『お薬手帳』の活用を推進するのです。
 
「めんどくさい」からの脱却は、今後の医療をより良いものにできます。
是非、『お薬手帳』の持参をよろしくお願いします!(保険証もね!)
 
参考URL
「ホルモン」と「ステロイド」の違い、わかりますか?
 
以前お話ししたように「ホルモン」は体内にたくさん存在します。
「ホルモン」は『内分泌』ともいわれるもので、器官や組織から直接血液や体液に分泌されます。
その「ホルモン」を分泌する細胞を『内分泌細胞』と言い、その細胞が属する器官や組織を『内分泌腺』といいます。
 
『内分泌腺』は大きく分けて2つあります。
①ほかの器官と独立して内分泌機能のみを持っている器官:
 (脳)下垂体、松果体、甲状腺、副甲状腺(上皮小体)、副腎など
②ほかの器官の一部として内分泌細胞が入り込んでいるもの:
 膵臓のランゲルハンス島、卵巣や精巣の性ホルモン分泌細胞、消化管の消化管ホルモン分泌細胞、心臓や腎臓のホルモン分泌細胞など
 
血液や体液に分泌された「ホルモン」は、全身を駆け巡り、全身の細胞や特定の臓器のところに行ってそれぞれ作用します。
 
「ホルモン」には、大きく3つあります。
A:ペプチドホルモン・・・たんぱく質あるいは少数のアミノ酸がペプチド結合したもの
 インスリン、カルシトニン、バソプレシン(抗利尿ホルモン)、甲状腺刺激ホルモンなど
B:アミノホルモン・・・アミノ酸が変化したもの
 チロキシン(甲状腺ホルモン)、アドレナリン、ノルアドレナリンなど
C:ステロイドホルモン・・・コレステロールのような「ステロイド」が基本構造になっているもの
・副腎皮質ホルモン・・・アルドステロン(鉱質コルチコイド)、コルチゾール(糖質コルチコイド)、アンドロゲン(男性ホルモン)
・性ホルモン・・・エストロゲン(女性ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)など
なお、ここで出てくる「ステロイド」とは天然(体内)に存在する化合物で、化学構造的にはステロイドというよりは「ステロール(A環の3位にヒドロキシ基(OH基)を持つ誘導体)」に属します。
 
一方、『ステロイド』は、分子中にステロイド核と称する骨格構造をもつ一連の有機化合物の総称です。ほとんどの動植物で生合成され、コレステロール、胆汁酸、ビタミンD、ステロイドホルモン等がその代表例です。
先ほど出てきたホルモン作用を持つ「ステロイドホルモン」と膜脂質の構成成分の「コレステロール」などは「生体内ステロイド」とも呼ばれます。
 
お薬にも『ステロイド』はありますよね。
ステロイド系抗炎症薬(SAIDs)は、抗炎症作用や免疫抑制作用などを期待して用いられます。
医療現場で『ステロイド』と言うと大体はコレです。
プレドニン、コートリル、リンデロンなどが有名で、錠剤や外用剤で使ったことのある方は多いと思います。
なお、非ステロイド系抗炎症薬はNSAIDsと言い、ステロイドではない抗炎症薬すべてを含みます。ロキソニン、イブプロフェン、バファリン、ボルタレンなどが有名です。
 
あと、ドーピングなどで問題になる『ステロイド』もあります。
この場合は「アナボリックステロイド」であり、多くに男性ホルモン作用も持つ「筋肉増強剤」として使用されています。
男性ホルモンの一種である「テストステロン」は経口摂取されず、注射などで体内に投与しても速やかに肝臓で代謝され、活性を失ってしまいます。
しかし「アナボリックステロイド」は、体内に取り込まれたのちに「テストステロン」に変換されるという物質であり、1955年に米国の重量挙げ選手団の専属医によって、『筋肉増強剤』として開発されました。
なお、この「アナボリックステロイド」は「たんぱく同化ステロイド剤」として、骨粗鬆症や慢性の腎疾患の治療、あるいは怪我や火傷による体力の消耗状態の改善などを目的に医療用に処方されることがあります。アスリートの方は服用にご注意くださいね!
 
参考資料:ぜんぶわかる 人体解剖図(著:坂井 建雄、橋本尚詞)
図解からだのしくみ大全(伊藤善也監修)
参考URL
https://ja.wikipedia.org/wiki/ステロイド系抗炎症薬
https://ja.wikipedia.org/wiki/アナボリックステロイド
http://ure.pia.co.jp/articles/-/22895 (←牛肉の「ホルモン」は19種類あるそうです!)
薬局には、必ずと言って良いほど置いてあるものがあります。
それは『乳糖』です。
 
『乳糖』は錠剤や散剤、吸入剤など、お薬の「賦形剤」や「添加剤」としてよく用いられています。
『乳糖(ラクトース)』は、体内に入ると乳糖分解酵素により「グルコース(ブドウ糖)」と「ガラクトース」に分解され、体内で栄養となるため『乳糖』は体への有害性はほとんどありません。
ですので、乳幼児など小さい子供のお薬を調合・分包する場合、投与量を均一に分包することが難しい時など、『乳糖』を加え「量増し」し分包することがあります。(処方箋に『乳糖』の記載がなくても、薬剤師の判断で添加できます。)
 
しかし、ここで注意しなければいけないのが、「乳糖不耐症」と「牛乳アレルギー患者」への使用です。
 
まず、「乳糖不耐症」の人は「乳糖分解酵素」が不足しているため『乳糖』が分解できず、多くの場合「消化不良」や「下痢」などを引き起こしてしまいます。
日本人にはこの「乳糖不耐症」の人が比較的多いとされていますので、お薬を飲んで下痢などの症状が起こる場合は、お薬の副作用ではなく添加されている『乳糖』の仕業かもしれません。
 
また、「牛乳アレルギー」を持つ人は『乳糖』に含まれる「乳漿タンパク」に対してアレルギーを持ちます。(『乳糖』自体にアレルギーを持つのではありません。)
「牛乳アレルギー」の有病率は、未就学児で117.5%516歳で113.5%、成人で14%となっており、下痢・便秘・嘔吐などの胃腸症状や、皮疹・蕁麻疹などの皮膚症状、そして最悪、アナフィラキシーも起こる場合があります。
「乳漿タンパク」は『乳糖』を製造する過程で、どうしても混入してしまうものです。
まず、吸入剤で『乳糖』を添加剤として使用するのは、体に影響がほぼ無いから「使いやすい」ということの他に、「コスト削減」のためでもあります。
『乳糖』は哺乳類動物の母乳から抽出する場合が多く、他の乳製品の製造と工程を合わせることで大量生産ができるため、製造コストがあまりかからないのです。
その乳糖製造過程でどうしても「乳漿タンパク(母乳由来のタンパク質)」が混入(微量)してしまい、それに「牛乳アレルギー」の人は反応してしまう、というわけです。
 
「乳糖不耐症」の人と「牛乳アレルギー」の人は、お薬に添加されている『乳糖』にも注意しましょう!
 
参考資料:
RP.+ 気管支喘息・COPDの吸入剤(2018 冬 Vol.17 No.1) 
参考URL
https://ja.wikipedia.org/wiki/牛乳アレルギー
突然の何かにびっくりしたり、寒気を感じたときなど『鳥肌が立つ』ときってありますよね。
人間は何故『鳥肌が立つ』のでしょうか?
 
『鳥肌が立つ』のは一種の防御反応です。
「鳥肌」は、毛穴の周辺にある「立毛筋」が、寒さなどの刺激や恐怖によって収縮してできます。
私たちの先祖が裸で暮らしていたころ、全身にたくさんの毛を生やし、その毛を立たせ、空気の層を作り、体を「保温」していました。
服を着るようになり、自身が保温をしなくてもよくなり、徐々にその毛も薄く小さくなっていき、現在のような目立たない産毛となりましたが、『鳥肌が立つ』機能は残っており、今でも交感神経が興奮・緊張すると起こるというわけです。
 
なお、人間だけでなく猫や犬、鳥などの毛のある動物も鳥肌が立ちます。
あと、スーパーサイヤ人も・・・!?
 
さて、『音楽を聴いて鳥肌が立つ』ことってありますか?
なんと、この現象を体験できるのは「ごく一部の人間だけ」なのです。
南カリフォルニア大学の研究によると、この現象を体験できる人の脳内の構造は一般の人の構造とは異なり、聴覚皮質と感情処理機能を接続する神経繊維の密度が一般の人よりも高くなっているのだそうです。
ほとんどの人の脳はニューロンと「音楽による鳥肌」がリンクしていないため、この現象を体験できない、ということです。
現在のところ、人口の何パーセントがこのような高密度の神経繊維を持っているかはわからないのですが、『音楽を聴いて鳥肌が立つ』経験をしたことのある人は、なかなかの希少人物と言えるでしょう。
 
参考資料:
教養で人生は面白くなる!おとなのための知的雑学(編・著:松本健太郎)
参考URL
『タバコ』はもともと薬でした。
 
紀元前700年ごろの古代マヤ時代のツボの底には『タバコの残存物』があり、また、「葉巻状のタバコを吸う神(L神)」の描かれたレリーフの一部分や彩色壺などが発見されています。
マヤ文明では『タバコ』は「儀式」や「治療」に用いていました。
『タバコ』の煙は、「神々へのお供え物」であると同時に、「お告げをもたらすもの」と考えられていました。炎の動きや煙の形で、戦いの勝敗や未来の吉凶など「占い」にも利用され、当時は葉巻やパイプを使い喫煙していました。
また、病気の治療にも利用され、霊力を持つ呪術師が煙を使い、体に宿った悪霊を追い払うことで病気が回復すると考えられていました。
 
「嗜好品」として本格的に利用され始めたのは、1559年にフランスの王室に「新しい医薬」として献上されてからです。
「ニコチン」の名前の由来となるジャン・ニコが、フランスの王妃カトリーヌ・ド・メデシスに薬草として献上し、カトリーヌ王妃が「頭痛薬」として使っていたことが注目を浴び、フランスの宮廷で『タバコ(嗅ぎタバコ)』が流行しました。
その後、一般庶民にまで普及し、ナポレオンやマリーアントワネットなども『タバコ』を楽しんだんだそうです。
 
『タバコ』につきものなのが、「依存性」や「副流煙」「発がん物質」などの問題です。
ニコチンの「依存性」は他の依存薬物と比べても高く、ヘロインが23%、コカインは17%に対し、タバコは32%もあります。(ちなみに、アルコールは15%。)
『タバコ』の煙に含まれる化学物質は4000種ほどで、そのうち約200種は致死性有害化学物質、動物に癌を作るものは約60種類もあります。人体に対しては9種類確認されています。「副流煙」は「主流煙」よりも多くの化合物を放出しています。
また、喫煙することで「肺がん」「口腔・咽頭がん」「食道がん」「虚血性心疾患」「脳血管疾患」「歯周病」など多くの疾患の原因と関連性があります。
 
最近は「電子タバコ」の登場で煙は蒸気になったとはいえ、吸わない人にとってはその蒸気も迷惑なものに感じる場合があります。ポイ捨てなんてもってのほか。
この世にはいろいろな『タバコ』がありますが、喫煙するときは何時もマナーは守った方がいいですね。
 
参考資料:
おもしろサイエンス 毒と薬の科学(編著:佐竹 元吉)
参考URL
1895年、人間はついに体を切ることなく、体の中を見ることを可能にしました。
X線』の登場です。
 
X線』は、ドイツの物理学教授「ヴィルヘルム・コンラート・レントゲン」によって、1895118日に発見に発見されました。
 
レントゲンは、189510月から放電管の実験を始めました。
暗い部屋の中で「クルックス管」という初期の実験用真空放電管を使い、「陰極線(真空管放電の際、陰極から出る高速度の電子の流れ。)」の軌道を調べていました。
さらなる遮光のために「クルックス管」に黒い厚紙を覆い、その状態で電気を流してみました。
すると、作業台に置いてあった「蛍光紙(シアン化白金バリウムの紙)」に『暗い線』が表れ、その装置から2メートル離れたところに「蛍光紙」を置いてもまだその『暗い線』は現れるため、それに気付いたレントゲンは「完全に遮光しているから『暗い線』の基は実験装置にある!」と考えました。
それから6週間かけてこの『暗い線』について実験を行います。
紙や木、研究室の壁、あらゆる物質(金・銀・銅などの金属)などを間に置き、透過の実験を行い、「『鉛』や『骨』は透過しない」「熱も出さない」ことを発見します。
また、「蛍光紙」から「写真乾板」を用いることで鮮明な撮影が可能となることを発見し、そばにいた妻に手を間にかざしてもらうと、手の骨と結婚指輪の輪郭がはっきりと見えました。
(その画像を見た妻は「自分の死体を見てしまった!」と叫んだんだそうです。)
レントゲンはその未知の線を『X線(数学の未知の数をあらわす「X」)』と名付け、その成果を発表すると、すぐに様々な分野で評価されます。
その後の医療にも変化をもたらし、そして1901年に「第一回ノーベル物理学賞」を受けます。
 
X線』が医療に使われたのは、1896年から。
イギリスのグラスゴー王立病院が放射線科を開設し、医師のジョン・マッキンタイアが「子供の喉に引っかかった1ペニー硬貨」と「患者の腎結石」を撮影したのが最初です。
1898年には、移動式X線装置が「オムドゥルマンの戦い」の後、負傷兵の骨折の診断や弾丸の場所の特定に使われました。
1904年には、現在でも行われている「硫酸バリウム」による「バリウムミールテスト」が行われます。
 
なお、レントゲンは「クルックス管」の前に「レーナルト管」を使って実験をしていました。
「レーナルト管」はドイツの物理学者フィリップ・レーナルトが1888年から始めた陰極線の研究で生まれたもので、レントゲンはレーナルトに依頼し、確実に動作する「レーナルト管」を譲り受け、それを使用し研究していました。
レントゲンは、研究するにつれ「レーナルト管の構造に似た「クルックス管」でもできるんじゃないか?」と考え、「クルックス管」を使用し『X線』発見に至りました。
X線』の発見はレーナルトのおかげでもあるわけですが、レントゲンが出した論文にはこれに対する謝辞がなかったため、レントゲンはレーナルトから激しい怒りを買ったんだそうな・・・。
 
いつの時代も、ちょっとしたことでも感謝の気持ちを忘れては『×』ですね。
 
参考資料:
やさしくわかる 子どものための医学 人体のふしぎな話365(ナツメ社)
50の事物で知る 図説 医学の歴史(著:ギル・ポール)
参考URL
『エキセナチド』というお薬があります。
『エキセナチド』は、2型糖尿病の治療薬で「バイエッタ」「ビデュリオン」という商品名で現在存在します。(どちらも注射剤。)
 
食事をすると体内にある「インクレチン(GLPGLP-12種あります。)」というホルモンがインスリン分泌を促進させます。
『エキセナチド』は、そのGLP-1の受容体を刺激しインスリンの分泌を促進する薬なので、「GLP-1受容体作動薬」とも言います。
また、「糖尿病」をほったらかしにしておくと「合併症」も引き起こしてしまいます。
その「合併症」を予防するためにも『エキセナチド』は使用されます。
『エキセナチド』のインスリン分泌促進作用は高血糖の時のみに現れるため、低血糖を起こすことが少なく、また、食欲を抑え、体重を減少させる効果もあります。
 
さて、この『エキセナチド』は「トカゲの毒」から得られたお薬なのです。
トカゲで毒を持つのは珍しく、世界でも2種類しかいません。
ドクトカゲ属に属する「アメリカドクトカゲ」と「メキシコドクトカゲ」です。
(ただしコモドオオトカゲなど、近縁のオオトカゲ科の種も広範に毒を持つとする説があります。)
その「アメリカドクトカゲ」から『エキセナチド』は得られ、2型糖尿病の治療薬として使用されています。
 
動物から得られるもので作られるお薬は意外と多く、
①ガマガエル・・・耳腺から出る毒が『蟾酥(センソ)』という漢方生薬(心臓の薬)となります。「六神丸」や「救心」に配合されています。
②ボスロップス・ジャララカ・・・マムシやハブの仲間で、最も危険な毒蛇。毒に含まれる「テプロチド」という成分を基に作られた『カプトプリル』が高血圧の薬として使用されています。
③ヤキイモ(イモ貝の一種)・・・『ジコノチド』という鎮痛薬は、「ヤキイモ」というイモ貝から得られる「オメガ・コノトキシン」を真似て合成された薬です。
④クロイソカイメン・・・ハリコンドリア属の海綿「クロイソカイメン」から単離された、「ハリコンドリン」という強力な細胞毒性物質の構造の半分を利用し合成された『エリブリン』が、乳がんなどの治療に用いられています。
などがあります。
 
『毒を以て、毒を制する』は、お薬の業界ではよく行われることなのです。
 
参考資料:
おもしろサイエンス 毒と薬の科学(編著:佐竹 元吉)
ご飯を食べる前や家に帰ったらする行為と言えば、『手洗い』ですよね。
『手洗い』をしないと病気になる確率が増えることは、子供でも100も承知だと思います。
 
『手洗い』は医療機関でも当たり前の行為で、手術をする前手を洗わない医師はいません。
しかし、昔はそうではありませんでした。
医療での『手を洗う』行為は最近まで行われていませんでした。
え!?マジで!?と思うと思いますが、マジです。
 
before
1846年、当時27歳の医師イグナーツ・ゼンメルワイスは「産褥熱(出産によって生じた、産道や子宮腔内の創傷が細菌に感染して引き起こされる発熱)」で命を落とす母親を、何とか減らすことはできないかと考えます。
「産褥熱」は古くからあり、釈迦を生んだ麻耶夫人は出産後7日後に「産褥熱」で命を落としたのではないかという資料もあります。
1772年には欧米全域で大流行し、妊産婦の5人に1人は「産褥熱」で命を落としたと言われています。
 
イグナーツは、自身が務める病院(ウィーン大学総合病院)での妙な噂に興味を持ちます。
病院には「産科」が2か所ありました。教授や学生が務める『第一産科』と助産婦が務める『第二産科』です。
そして、その2か所の「産科」では「産褥熱」の発生率が違い、「『第一産科』は『第二産科』よりも発生しやすい」という噂でした。
イグナーツが調べてみるとその通りで、発生率は数倍の違いがありました。
イグナーツは試しにスタッフを入れ替え、助産婦が務める『第一産科』と教授や学生が務める『第二産科』で比較したところ、今度は『第二産科』で「産褥熱」が発生しやすくなりました。
 
またある日、イグナーツの知り合いの医師が手術中の事故によって死亡します。
「産褥熱」で命を落とした妊産婦の検視を行う際、あやまってメスで自分の手を切ってしまい、「産褥熱」の患者たちと全く同じ症状で死亡してしまったのです。
 
この2つの事柄で、イグナーツは、
①「産褥熱」で命を落とした女性の遺体から『何らかの感染性物質が医師の手などに付着』し、これが次の妊産婦にうつり「産褥熱」が発生する。
②死体解剖室にいた医師が分娩に従事することがあり、解剖室から出てきた医師の手には死体のひどい「臭い」が付いていた。
しかし、助産婦は解剖をしないので、感染性物質をうつしにくい。だから助産婦が務める「産科」の方が発生率が少ない。
と考えます。
 
そこでイグナーツは、解剖を終えたあと「爪を短くし」「石鹸で手を洗い」「塩素水に手を浸して」「ブラシで手をこする」という手段を考案し、医師だけでなく学生にも実践させます。
 
after
すると・・・なんということでしょう。
『手洗い』を開始してから数か月で、12%あった『第一産科』での死亡率が3%までに低下したではありませんか!
さらに、下着や医療器具なども消毒を徹底した結果、死亡率は0.5%以下まで激減しました。
 
しかし、時代は残酷です。
画期的な匠の技『手洗い』は、一部の医師などには大きな感銘を与えましたが、幅広い支持を受けることはありませんでした。
当時は「医師は「紳士」である。紳士は「清潔」である。よって医師が汚れているはずがない。汚れで医師が患者を殺すはずがない!」という考え方が深く浸透していたからです。
イグナーツは、無念にも1850年にウィーン大学総合病院から追放されてしまいました。
 
その後、イグナーツは1855年にブダペスト大学の産科教授に就任し、そこでも『手洗い』の重要性を見出しますが、世間には最後まで認められず、それが原因で錯乱状態となり精神病院で47年の短い生涯を終えました。
 
しかし、イグナーツの『手洗い』は若い手にわたります。
ジョセフ・リスターという外科医が注目し、手を消毒することで細菌感染を予防するという「消毒法」を確立するなど、イグナーツの学説は徐々に時代に認められ、その功績をたたえたブダペスト大学はゼンメルヴァイス大学(ゼンメルワイス大学)へと名前を変えています。
 
『手洗い』の歴史は浅くても、思いは深い!
皆さん!『手洗い』しましょうね!
 
参考資料:
世界史を変えた薬(著:佐藤 健太郎)
参考URL