秦霊性心理研究所

 

所長 はたの びゃっこ

 

 

みなさん、こんにちは。

 

今年のまとめ的な話をしておきます。私はこれまで霊性の研究と実践の両方を行ってきました。

霊性(スピリチュアリティ)の心理学的研究の中で取り組まれているテーマの1つに、人々の宗教的な経験、信念、価値の個人差を査定するための道具(心理尺度)を開発するものがあります。領域やベースとする理論的に枠組みによって、これまでにさまざまな尺度が作成されています。

 

私は、自己超越傾向の個人差を捉えるための心理尺度を作っています。


ここで自己超越とは何かについて、再確認をしておきます。スリチュアルな人は、超越的な次元が人生にはあるという経験に基づいた信念を持っています。この信念の内容は、人格神といった伝統宗教的な見方から、潜在意識または「より大いなる自己」の領域への自己意識の自然な拡張、といった心理学的な見解までを含んだ広範囲なものに及んでいます。

スピリチュアルな人は、肉眼では見えない世界と、この不可視の次元への調和的な接触と適応が有益であると信じています。言い換えるなら、スピリチュアルな人とは、以前お話ししたマズローが「至高体験」(peak experience)と呼んだものを通じて超越的な意識次元を経験した人であり、彼らはこの次元との接触を通して個人的なパワーを引きだしていくのです。

そこで、私は、マズローの超越的自己実現者に関する記述に基づいて、心理テストを作りました。この場合、宗教的文脈から発生する超越体験だけではなく、一般の人々による日常的な超越体験に目を向けた内容に焦点を絞りました。

 

 

質問 次のような経験や気持ちをあなたはどのぐらいもっていますか。あてはまる番号に○をつけてください。
 

あてはまる………………5
ややあてはまる…………4
どちらとも言えない……3
ややあてはまらない……2
あてはまらない…………1  



1自分を愛するほどに他人を愛することができる。・・・・・・・・・・・・・・・1 2 3 4 5                    

2自分には、一心同体だと感じられる相手がいる。・・・・・・・・・・・・・・・1 2 3 4 5                   

3自分を犠牲にしてでも、その人のために尽くしたいと思ったことがある。・・・・1 2 3 4 5

4相手が喜び、幸せそうにしているのをみると、自分のことのように嬉しくなる。・1 2 3 4 5

5どんな相手でもわけへだてなく受け入れることができる。・・・・・・・・・・・1 2 3 4 5

6自分の喜びや苦しみを多くの人々と一緒になって分かち合いたいと思う。・・・・1 2 3 4 5

7私たちは、みんなが「目には見えない糸」で結びつきをもっていると思う。・・・1 2 3 4 5

8人類全体の進歩と幸福のために、自分でできることをやってみたい。・・・・・・1 2 3 4 5

9草花をみているうちに、大きな安らぎや充実感を覚えたことがある。・・・・・・1 2 3 4 5

10身のまわりの自然と自分がこころを通わせたと感じた経験がある。・・・・・・1 2 3 4 5

11自分が死んでも、自然の一部になっていき続けることができると思う。・・・・ 1 2 3 4 5

12いま、ここでの瞬間が大切なひとときだと感じる。・・・・・・・・・・・・・1 2 3 4 5

13自分のいのちは、姿形を変えて永遠に存在すると思う。・・・・・・・・・・・1 2 3 4 5               

14自分は何か大きな見えない力によって「生かされている」という実感がある。・1 2 3 4 5

15自分の心の中には、人間を超えた「神」のような存在が宿っていると思う。・・1 2 3 4 5

16自分がこの世に生まれてきたことには、大きな意味があると実感できる。・・・1 2 3 4 5

17一日一日を一生懸命になって生きているという実感がある。・・・・・・・・・1 2 3 4 5

18言葉に言い表せない感動に突然襲われて身震いしたような経験がある。・・・・1 2 3 4 5



©秦霊性心理研究所2023

註.このテストは、個人で実施したり、研究目的で使用される場合には無条件で許諾しています。しかし、商用利用、メディアでの利用については事前に使用許可を得てください。連絡先はOwndの方に明記してあります。

 

 

☆結果の診断について

 

合計点を算出して、以下の基準でご自分の自己超越傾向を判定することができるようになっています。

10代-80代の学生・社会人1361名に実施したときの得点分布から判定基準を作りました。

 

☆結果診断ラベル

18−33点⇒スピリチュアリティ傾向 非常に低い
34-45点⇒スピリチュアリティ傾向 かなり低い
46-69点⇒スピリチュアリティ傾向 平均的
70-81点⇒スピリチュアリティ傾向 かなり高い
82−90点⇒スピリチュアリティ傾向 非常に高い

 

 

項目を細かく見ると、以下のような項目が霊性の要素として分割できることが示されました。

 

1.霊性の自覚
 

・自分の心の中には人間を超えた「神」のような存在が宿っていると思う。    
・自分はなにか大きな見えない力によって「生かされている」という実感がある。
 

2.生の意味と目的

・いま、ここでの瞬間が大切なひとときだと感じる。 
・一日一日を一生懸命になって生きているという実感がある。  
・自分がこの世に生まれてきたことには、大きな意味があると実感できる。 
・自分の喜びや苦しみを多くの人々と一緒に分かち合いたいと思う。 
・人類全体の進歩と幸福のために、自分でできることをやってみたい。
 

3.命の永続性

・自分のいのちは、姿形を変えて永遠に存在すると思う。 
・自分が死んでも、自然の一部になって生き続けることができると思う。  
 

4.自然との一体感

・身の回りの自然と自分が心を通わせたと感じた経験がある。 
・草花を見ているうちに、大きな安らぎや充実感を覚えたことがある。
 

 

 

☆身近な生活場面における自己実現&超越とは?

 

 

身近な生活場面での超越的自己実現について少し解説しておきます。自己実現はつまるところ、1人1人の個性が実現されていくプロセスです。わたしたちはこの世に生まれた瞬間から、誰もが自己実現をする機会を与えられています。

 

では、自己実現に向けた生き方とはどのようなものなのでしょうか?

1.現在に熱中すること……いままさしくこの瞬間を精いっぱいに感動して生きることです。「感動をありがとう」という表現がありますが、これは外側から煽られて感情が揺さぶられているだけです。自分の内側からこみ上げてくる感動こそが一種の超越になります。

 

そのためには、まず「過去の自分」から決別する必要があります。とくに、過去の失敗、惨めな思いに対するこだわりを捨て、今の瞬間に集中する必要があります。「あの人に冷たくされた。」、「彼女にフラれた。」などとすでに起こってしまったことをクヨクヨと気にかけて、いつまでも悩み続けるのは「過去に生きている」証拠です。

1秒前の自分はいまはもう存在しないのです。わたしたちの心は刻々と変化し、つねに「生まれ変わり続けている」と考えましょう。

つぎに、未来に対する懸念や気がかりなことからも別れましょう。「私がこんなことを言ったら、相手に嫌われるのでは……。」、「明日あの人と顔を合わせるのは辛い――。」などと、まだ実際に起こってもいないことに気を回し、未来に気を取られすぎることで現在という瞬間を無駄につかってはならないのです。

2.人目を気にしないこと……他人のまなざしや態度を気にしすぎて、自分の行動がぎこちなくなってしまう人が大勢います。もちろん相手のためを思って行動することは大事なことなのですが、それは相手の言いなりになってしまうことではありません。他人からの評価ばかりに目を奪われていると、どんどん自分の姿が萎縮してしまうのです。

自己実現をめざす人は、他人から自分がどうみられているかということよりも、自分の心の中にあるホンネの声に耳を傾けています。わたしたちは、もっと自分の感情や欲求に正直になって行動する必要があります。

3.行動を選ぶときの感情に注目すること……人生とはたくさんの選択肢の中から1つを選んで行きつ戻りつするゲームにたとえることもあできます。日常生活の中でわたしたちは何度となく行動人生の選択に迫られるのですが、その中には自分に進歩や調和をもたらす選択と、逆戻りやゲーム・オーバーになってしまうような破滅的な選択とがあります。

ここで、行動を選ぶときの自分の感情を考えてみる必要があります。相手を憎んだり、ねたんだり、陥れてやろうという気持ちから起こす行動の選択は、自己実現というよりも自己破壊をもたらすので問題外です。

人を憎む前に自分自身の態度にも問題はなかったか考え直してみましょう。人をねたむまえに、自分がそのような人間になればよいのです。

また、自分の身を守ったり、自分の将来に不安や恐怖を感じるあまりに「何もしない」(1回休み)という選択も無意味です。これでは、これまでと何も変わらない自分のままだからです。

4.引っ込み思案はタブー……自分の感情や考えをはっきりと率直に相手に表現することも大事です。自分が恥ずかしがったり、恐れているほどに相手は自分のことを気にかけてはいません。自意識過剰のあまり、人前でおどおどし、シャイであることは自己実現を妨げているのです。
 
このように、身近な場面での自己実現プロセスに絞った話をしましたが、これまでの自分の古い殻を脱ぎ捨て、つねに前をめざして自己変革を成し遂げていくことに、わたしたちがどこまで強い勇気を奮うことができるかが問われているといえるのです。

 

わたしたちは、これまで出会い、知り合ってきた大勢の人々から影響をうけることでできています。生まれてから誰にも出会わず、人とかかわりをもつことなく生きてきたとするなら、あなたの人格は「白紙」のような状態のままでしょう。

わたしたちは人と出会い、かかわることではじめて自分らしさを見つけることができるのです。

わたしたちは一生の間に大勢の人に出会いますが、一方で出会うことのない人も星の数ほどいます。あなたは、こうした自分とは直接関係のない人のことも親友や恋人、パートナーと同じように「愛する」ことができていますか?

それでは、皆さん、ごきげんよう。

 

年末年始の祭祀のため、12月29日(金)-令和6年1月3日(水)はブログをお休みとさせていただきます。それではみなさま、よいお年をお迎えください。

 

 

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