あじさい 6月3日(水)


朝に降っていた雨も、夕方にはほとんど止んでいました。

近畿地方、梅雨入りしたそうです。


君のためなら千回でも(上巻) (ハヤカワepi文庫)/早川書房
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君のためなら千回でも(下巻) (ハヤカワepi文庫)/早川書房
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「君のためなら千回でも」上・下2巻、一日で一気に読みました。

(今日は他に何もしていない、ということでもあります。)

わたしの稚拙な文章で紹介するのはほんとにもどかしいのですが、

引き込まれました。

ぜひ、他の方にも読んでいただきたいな、と思える作品でした。


作者は、アメリカ在住アフガニスタンカブール生まれの医師カーレド・ホッセイニです。

この人の作品を読むのは、これが2作目。

少し前に「そして山々はこだました」を読みました。

でも、物語としては、処女作であるこの「君のためなら千回でも」のほうがわかりやすく、

わたしには馴染めました。


物語は、「わたし」と幼馴染ハッサンとの友情・裏切り・そして、贖罪の旅

を縦軸に進んで行きます。

その軸に、1980年以降の祖国アフガニスタンの悲劇的な政治情勢、それに

複雑な宗教や民族問題が絡んで、物語に深み(と言ってよいかどうか、ですが)

を与えています。

少なくとも、安全な状況下にあるわたしには、否応なく突きつけてくるものがある、

と感じました。


アフガニスタンからアメリカに亡命してきた人たちの中に

(亡命が可能だったその人たちの多くは、富裕層です)

アフガニスタンに平和がもどったら、帰国してまたそれなりの地位に就いて、

祖国に尽くすつもりだと言う将軍がいます。

その娘が、「この大変な時期に祖国を見捨てたあなたが?」と言って、父親を非難します。

物語の中では中心になる部分ではありませんが、考えさせられました。


何と言っても、ハッサンが魅力的でした。

不遇な環境の中にあっても、快活で明るく真っ直ぐ、すばらしい子どもです。

対して、ヘタレな主人公の「わたし」。

この「わたし」の成長物語の一面もあるかな、と思います。


「カイトランナー」という題名で、映画化されたこともあるようです。

原作に比べて、映画の出来自体は、あまりよくなかったらしいですが・・・