カルスト台地として日本一の面積を誇る山口県美祢(みね)市の秋吉台で、ごみ問題が起きている。国の天然記念物の鍾乳洞に空き缶などが流れ込み、台地を走る県道沿いには家電製品などが捨てられ、貴重な生態系の破壊が懸念される。近く市は不法投棄されたごみの回収に乗り出す。

 秋吉台で確認された約450の鍾乳洞のうち、大正洞と景清洞(かげきよどう)は国の天然記念物、秋芳洞(しゅうほうどう)は特別天然記念物に指定されている。各洞は三角田(みすまた)川などとつながっており、定期的に掃除される秋芳洞を除く洞内には、流れてきたとみられるビニール袋、電池、弁当の空き箱など生活ごみなどが漂着している。

 秋吉台エコミュージアム自然解説指導員の田原義寛さん(37)は6年前から清掃ボランティアを続ける。昨年は8回、一般ボランティアらと大正洞など8カ所の洞窟(どうくつ)や縦穴で活動し、軽トラック1台分のごみを回収した。

 秋吉台では05年、「地下水系に生きる豊富な生物層」の存在が認められ、国際的に貴重な水辺を守るラムサール条約にも登録された。秋吉台科学博物館学芸員、石田麻里さん(32)は「秋吉台に生息するアキヨシミジンツボなど鍾乳洞には貴重な貝や虫が多い。ごみで流れが変わったり、重金属が流れ出せば生態系が崩れる」と懸念する。

 洞窟だけではない。秋吉台の北部、鐙(あぶみ)峠を走る県道沿いの斜面には約2キロにわたり、テレビ、冷蔵庫などの粗大ごみが不法投棄されている。市は「柵を設けたり、看板を増やすしかなく、効果的な防止策がない。8月ごろまでには回収したい」。洞窟ごみについても、秋芳洞以外は今後、定期的に回収するなど改善を図る方針だ。

 田原さんは「地下水系は複雑でごみがどこに流れ出るか分からない。絶対に気安く捨てないでほしい」と訴えている。【佐野格】

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