今回は書写の教科書について書きます。

といっても短めに。

 

私の子どもの頃は、「書き方」とか言われていたような気がします。

ちなみに私は、字が汚かった。

校内でも1,2を争うような汚さでした。

 

両親、兄弟はみな字がきれいでした。

だから、遺伝ではない。

逆に、家族はみんな、自然に字がきれいだったから、私の字を「汚い」とはいうものの、どうしたらきれいに書けるかというのは、教えてくれませんでした。

自然にかけるから、逆にきれいな書き方のコツというものを意識できないわけです。

これでは逆に、教えられないわけです。

 

ものすごくコンプレックスをもっていたわけではないが、

どうしたはずみでか、20歳過ぎにペン字の市販の本を買って練習しました。

といっても、真剣に何時間も練習したわけではありません。

ちょっとしたコツが書いてあったので、それを知って、実践しただけです。

そのコツの例は後程書くとして

 

それ以降、私は、職場では、「きれいな字を書く人」ということになりました。

また、家族も驚きました。久しぶりに実家に帰って字を書くと、

「きれいになったね」と驚くのです!

 

私にしてみれば、大して練習もしてないのに、

「なんだ、こんな簡単なことで多少はきれいな字と認識してもらえるようになるのか」と思ったものです。

 

字がきれいかどうかは、単に、ちょっとしたコツの問題でした。

もちろん、習字で段位をとるような方と比較するようなものではありません。

ただ、日常では、それで十分なレベル、という意味です。

 

 

で、ここからが本題なのですが、

「こんなことなら小学校の時、こういうコツを教えてくれていればよかったのに」

と思ったのです。

 

そして、逆に期待もしたのです。

もしかしたら現代の書写の教科書は、そうしたコツを載せてくれているのではないか、と。

 

なんだかんだいって、今の小学校の教科書は、私の時代よりは確実に「進化」しています。これまで国語や歴史については批判めいたことは書いてきましたが、基本的には「こんな教科書で勉強したかった」と思いたくなるようなものになっています。

いろいろ工夫がされているのです。

 

そこで、小学校2~5年生までの書写の教科書を今回見てみたのですが・・・

 

残念ながら、がっかりでした。

 

記憶の中の、私の頃使っていた教科書と教え方がかわっていない。

 

以下に、(私が問題と思った)問題点を挙げます。2つあります

 

1、習字に割かれているページが多すぎる

習字は今の時代(いや、私の頃から)、もはや伝統芸能の世界のものです。

習字自体は否定しませんし、美しい習字を見ると、やはり「きれいだな・・」と思います。

しかし、日常生活で使うものではありません(ペン字すら、今の時代は使う機会が少ない)。例えていえば、尺八や和太鼓のようなものです。

ところがざっと見て、その習字が、教科書の中で、分量的にざっと8割くらいを占めているのです。

これは実用的ではない。

しかも腹が立つのは、必ず「しんにょう」(「道」とか「遠い」の部首?の部分です)の練習が目立つように見開きでのっているのですね。しんにょうって、無茶苦茶難しいと思いませんか? そんなものをことさら練習させる、というのはどうかと思います。

 

 

2、ペン字の教え方が変わっていない

きれいに書くコツのようなものは、「はらい」とか「はね」とかの違い、用語の説明までしかありません。私が期待したような「コツ」は、ほとんど皆無。せいぜい、「ひらがなは漢字より小さめに書きましょう」との一文を見つけたくらい。あとは、書き順とかいった、「国語の方で習うんじゃない?」というような内容も多い。

そして一番の問題は、

あいかわらず、うすい灰色の印刷の上をなぞらせる形式が踏襲されていること。

 

ありましたよね?

こんないんさつのうえをなぞらせる練習のページが

 

あれはなぞるだけだから、私でもできました。

字が下手だった私が断言します。このなぞり方式では、うまくなりません!

 

いや、もう少し正確に言うと、いわゆるもともとセンスのある子なら、これだけで感覚的にきれいな文字がどういうものか理解して、きれいな字をかけるようになるかもしれません。

しかし、もともと字が汚い、あるいはセンスのない子にとっては、なんの意味もありません。

例えていえば、算数の苦手な子に、模範解答を丸写しさせているようなものです。

算数が得意な子なら、模範解答を読むだけで、「ははーん」とわかります。

でも、算数が苦手なこの場合は、丸写し方式は苦痛なだけです。

 

これでは、子ども全体を平均的に字をきれいにする授業にはなりません。

むしろ、「字のセンスのある子」を見分けるための教科書にしかすぎません。

「この程度の内容の教科書で字がきれいに字が書ける子はセンスがあるから、コンテストにでることを勧めてみようか」

という選抜のための本になっていると思います。

 

しかもですよ、「おむすび」とか「結果」とか、2~3文字の練習を数回くり返して書かせる(それも毎度の通り、最初は例のうすい印刷をなぞる形で)という退屈な練習が延々と続いたあと、いきなり、はがきの文面をながながと(例によって印刷の上を)なぞらせるのです。

 

「おじいちゃん、おばあちゃん、お元気ですか。

わたしは今、なわとびを毎日がんばっています。

この前、二重とびができるようになりました。

今度会った時に見てください。

いつまでも元気でいてね」

 

このはがきの文面の前に練習していた文字が、「おむすび」とか「すみれ」とか、成長」なのです。なんの脈絡もありません。

 

 

私が昔買ったペン字の本は、非常に実用的でした。

以下に例をあげますと、

まずひらがなの書き方です。一文字一文字、コツがある。

代表的なものをいくつかあげますと、

「あ」と「お」の違い。

 この2つの文字、同じような、「の」の字を基本にしたような形なので「丸く書く」「円のイメージ」が強いですが実はまったく違う形と思ったほうがいい

「あ」という字は、基本的に少し縦長に書くのです。縦長方形。

そして、最後の「の」ののばすところは、くるっと丸くするのではなく、下にやや直線的に伸ばすようにします。流す感じ。

大して「お」は、「の」のところは、「の」のような丸い形ではなく、平たく横長につぶして書きます。また、最後の「の」の書き終わりは、それこそ内側・中心にすこし丸める感じにします。

また、「あ」と「お」の縦の棒のところも、「あ」はやや曲線。「お」はむしろしっかりとした直線です。

あと、「お」の最後の「てん」は、できるだけ本体から離れ気味にして書くと、かっこよくなります。

まだ細かいところはいろいろあるのですが、さすがに文章で説明するのは難しいので、このくらいで。

 

他にも、「か」

これは、子どもは下手に書きがちです。

どこが難しいかというと、最後の「てん」(「カ」以外の斜め棒)を、どうしても「カ」に近づけて書いてしまうのです。それこそ「カ」にくっつかんばかりにして書いてしまう。

これも「お」の最後の「てん」と同じで、「こんなに離していいの?」と思うくらいに「カ」と話して書いてやると、バランスがよくなります。

いわゆる中心線(この用語もあまり好きではないのですが)が、「カ」と「てん」の間にあるのがいい。
 

あと、「め」と「ぬ」

私が子どものときは、この違いがまったくわからなかった。

「ぬ」は、「め」の最後のところをくるっと丸にするもの、という程度からぬけだせなかった。

今ではこの2つは全く違う字に見えます。

「め」は、正真正銘の「丸」のイメージです。

大して「ぬ」は、横につぶして書く。横長方形。少なくとも絶対に「丸」のイメージではありません。

形全体のバランス的にはどちらかといえば、「め」と「あ」が似ている。「ぬ」と「お」が似ていると考えてよいと思います。

もう少し書くと、「め」は、ひらがなの中でも、より小さめに書くとよいとのことです。

 

続いて漢字。

教科書だと、「林」なんてのは、「木」よりも幅が狭くなると書いてある。

それでは不十分で、

「林」とか「羽」とかいった、同じ形が並ぶものは、あとから書く方を少しだけ大きめに書くのがコツだそうです。

 

また、「品」や「器」といった3~4個同じものが並ぶ場合も、それぞれ「口」を、少しずつ大きさを変えてやる。「品」だったら、書く順に、「大、小、中」。「器」なら(今手元に資料がないですが確か)「中、大、小、中」の順。

 

あとは、「皿」「西」「四」といった字は、横長に書くことを意識する。

「目」なんてのは、逆に少し縦長にしてやる。

 

他に、漢字全体(あるいはひらがなも)にいえることは全体に横棒は少しだけ右上がりに書くとか。

 

 

残念ながら、今回書店に行ってペン字の本をいくつか見たのですが、

私が昔買ったのが一番よかったような気がします。
それでも、教科書よりはましだと思います。

 

とにかくコツです。練習ではなく、できるだけたくさんの具体的な文字一つ一つについて、コツが書いてあるものがおすすめ。

 

あとは、形というコツ意外に、書くときに筆圧が高くないかとか、少し意識してやる。

するとそのうち、上手い人の字とかみたとき、

「あ、これはこういうふうに真似してみよう」とか、考えるようになります。

 

あと、最後に大事なことは、

「きれいでなくても丁寧に書くことはできる」

ということです。

私も、子どものころ、汚いことは汚かったが、

テストなど大事なところでは丁寧に書くことは絶対にこころがけました。

だから、「読めない」ということで減点されたり仕事で苦情を言われたことはありません。

どうしてもお子さんがきれいな字が書けないのなら、しかたありません。

その代わり、丁寧に書くようには言ってやって、丁寧に書いたらほめてやってください。

 

あと、以下のような疑問はでるかもしれません。

私がこのように挙げたコツの理屈自体が、

小学生の頭にとってはまだ理解が難しいのかもしれない、ということです。

でも、それだったら、「は」の字や「り」の字の、

一画目と二画目を「つなげるように」と抽象的にアドバイスしているのはどうなのか、と思います。よくありますね、この書き方。「つなげるように」。

これは精神論に近い。精神論が悪いとまでは言いませんが、単なるコツよりは理解しにくいはずです。

そんなことを書くくらいなら、たとえば「は」の字の結びなら、「横の結び」などこれまたわかりにくい表現をするのではなく、「ひらたい丸を意識しましょう」とか書いたほうが役に立つと思います。

 

<おしまい>