NTレシオが下げ止まらないため、急遽、過去五年間のNTレシオの下落局面を調べてみました。今回の下落は、NTロングのポジションを建てた者にとって、ネイキッドのプットオプションを売り建て、権利行使されかかっている恐怖心理に似たものを味わっています。
しかし、相手はレシオ(倍率)です。株価のように、統計学が想定するレンジを簡単に突き抜けていくものなのでしょうか?
過去5年間 NTレシオの推移
下落一覧ヒストリカル(5年)
項目説明
2012年2月から直近まで、NTレシオがトレンドを伴って0.2以上下落したケースを値幅降順で抽出。表のNOがチャートの番号と対応しています。枠で囲んでいるところが今回。
日数: 下落期間の日数です。
From: 高値 To: 安値
チャート見ながらマニュアルで抽出しましたので、最大値幅でない可能性があります。
値幅: NT高値ーNT安値
期間騰落率: 当該期間の日経平均、TOPIX、NTレシオの騰落率です。
期間ボラティリティ: 当該期間の日数で計算したヒストリカル・ボラティリティです。(年率換算 250日) 当該期間のリスクを意味します。本来は、VI指数等で判断したいのですが、TOPIXにVI指数が存在しないため、ヒストリカル・ボラティリティでリスクの大きさを計測しています。
Sレシオ: 期間騰落率(絶対値)÷期間ボラティリティ。 リスク・リターン比。この数値が大きいほど、効率の良い投資を行ったことになります。(この場合、ショートしていればの話ですが。)
項番19(今回の下落)の例で説明しますと、1.12という数値の意味は、
分母に2.69%のリスク(NTの期間ボラティリティ)を取り、分子に3.02%のリターン(NTの期間騰落率、値幅にして0.374)を稼得したという意味になり、取ったリスク以上にリターンが得られたという意味になります。実際には分子は負値でありますが、話をわかりやすくするため正値にしています。
過去5年間、トレンドを伴って0.2以上下落したケースは、今回を含めて19回ありました。下落一覧を作成してわかったことは、19回のうち、今回のように股裂きになっているケースが6回もあるということです。(股裂き:日経平均とTOPIXが正負になっている状態)
上昇時のケースは調べていませんが、NTレシオが下落するケースは、その前にその下落幅と同程度に上昇しており、その反動、あるいは戻りという形で下落することが多いとみられることから、上昇時にも股裂き状態になっているケースが相当数あると考えられます。
このことから、NTトレードが安全とは、机上の話であると言わざるを得ません。まさしく、机上と実戦は異なるという典型例です。股裂き状態になれば、片張りで逆方向にエントリーした場合以上に損失が発生します。しかも、NTトレードは片張りと比べて損切りの判断が難しいことから、損失が大きく膨らむ可能性があります。
まず、比較的安全と説いている「書籍(webも含む」、証券会社の「NTトレードのおすすめ」などは割引いて考え、予断を持って対応しないことを自戒を込めて申し上げたいと思います。
さて、チャートを見てわかることは、今回を除く過去18回の下落が、下落する前に上昇しており、それに対する反動、戻しという形に見えるのに対し、今回の下落はそれがなく(上昇が小さく)、NTレシオがチャブついたのち、大きな下落が発生していることです。かなり特異なケースと見られます。
下落一覧を見ると、今回の下落幅は、歴代5位です。過去にはもっと短期間に下落したケースがありますが、表右側の期間ボラティリティを見てください。今回よりも値幅が大きいケースは、いずれもボラティリティが普通にあった状況下で起きていることです。今回の下落は、日経平均、TOPIXのともダントツでボラティリティが低く、NTレシオのボラティリティの低さも歴代2位です。そのような低ボラティリティ下で大きな値幅が出たことが、他の4ケースと大きく異なります。
さらに、Sレシオをみると他の全ケースが1を割っているにも関わらず、今回の下落は、この数値が1.2です。取ったリスク(2.69% 期間ボラティリティ)よりもリターン(3.02% 期間騰落率)のほうが大きいというかなり珍しいことが起きているのです。Sレシオは正規分布が仮定できますので、確率計算すると、0.31%の確率でしか起きない現象です。
(Excelで = 1- norm.dist(1.12,0.58,0.2,true)で計算→ ()の中は、(x,平均、標準偏差、分布関数)
珍しい現象は(ショートしていた場合の極めていいパフォーマンス)、そう長くは続きません。そろそろ、NTレシオも下げ止まるのではないかというのが私の個人的な見解です。
本日8月11日、ナイトセッションで珍しい現象が!
昨日のNYの株価(8/10)を確認したら、3指数とも下落しています。特にナスダックの下落が目立ちます。今までは、このような場合、225のほうがTOPIXより大きく米国株に反応し、NTレシオは下落する傾向がありましたが、今回はその逆になっています。しかも、チャートを見ると、NY大引け1時間前(米東部時間15:00 日本時間 4:00)に3指数とも下げ足を早めているのに対し、NTレシオはなんとその時間帯で上昇しているのです。
さらに、値幅が0.037とナイトセッションにしては大きく動いています。早速、9月限ナイトセッションの上下幅を調べてみました。(1分足ベース)
9月限月ナイトセッションの値幅平均、0.0188であるのに対し、今日はその約2倍です。
下記グラフは、9月限月の値幅ヒストグラムです。右端が今日の値幅の位置です。
残念ながら、データが正規分布してないので、それに基づく確率計算はできませんが、最近になく相場が下方向に大きく動いたとはいえ、比較的珍しいことが起きたと見て間違いないでしょう。
奇しくも、本日8月11日は「山の日」です。これは何かの因縁でしょうか。
8/10~11 日中および夜間の225ミニ/TPXラージの気配値ベースのNTチャート(1分足)



