ネットサーフィンをし、ふと、あることを気付きました。
それは、さまざまな体験記を読んでいると、対人関係がうまくできない体験者の体験記となつきの体験が重なって感じられることです。

なつきは自分の今までの男性の付き合い方が、パターン化されているのではないかと感じました。

なつきは1人でいることが寂しく、なんとなく男性と付き合い始めます。
付き合い始めは男性が食事に連れていってくれたり、楽しいことを考えてくれ、なつきの気を引こうとします。

その期間を過ぎると、次第になつきが彼に尽くします。彼が「もういいよ!」と言うほど、彼の部屋の掃除をしたり食事を作ったりしたこともありました。
彼のことを全て知りたい、との思いで彼の携帯をこっそり見たこともありました。
なつきが、のめり込んでしまうのです。

さすがに何人もの男性と付き合っているうちに、なつきの一方的な話の切り出しは減りました。我慢をしたからです。
今回の彼とは付き合う期間も延び、一時の恋愛感情だけではなく彼への信頼感も感じます。そんな気持ちで1年経ちました。

彼から、プロポーズされました。

その時、なつきは怖くなりました。
フッと、もし彼が突然いなくなったらどうしよう、と思ってしまう自分を感じました。

「チョット、答えは待って!!」
と返答するだけで精一杯でした。

彼は、良い返事を待つと言ってくれました。

なつきは1人になり考えました。
彼とずっと一緒にいてもいい、ずっと一緒にいられたらいいのにという気持ちと裏腹に、彼の胸に飛び込めない自分を歯がゆく思いました。
数日経っても、決断できません。

なつきは、幸せなときは長く続かない、
幸せなときから真っ逆さまに不幸に陥るならば始めから幸せにならずとも、平凡な今のままでよい、という内なる声を聴いていました。

なつきの母から久しぶりに電話がかかりました。結婚をせかされたので、これまでの経緯を話しました。
受話器を下ろすと、なつきはなぜか猛烈に怒りがこみ上げてきました。お母さん、あなたのせいで私は結婚に踏み切れないのよ、と。
なつきは自分でも驚きました。

つづく

なつきは、29歳になりました。



25歳の時、元彼と別れてから何人かと付き合いました。
理知的で容姿端麗ななつきに言い寄ってくる男性は、何人もいたからです。軽いのりで、付き合ってみました。

なつきの両親は独り身でいる娘を心配し、そろそろ結婚してはどうかと提言します。
結婚を想定して付き合うのですが、彼がそれらしき振る舞いをし始めると、なつきは何故か拒絶します。

結婚はしたくない。子どもも欲しくない。
という気持ちが猛烈にわき起こってくるのでした。

しかし、30歳を目の前にしてこのままではいけないという気持ち、焦りの気持ちがあることも否めません。

なつきは考えました。
今までの本や講演、ワークショップより、なつき自身が変わらなければ何も変わらない。現在のライフスタイルを変えることが不可能だと感じ始めていました。

理屈では分かっているが、どうすることもできない。
数知れない自己啓発を積み重ねてきて、それなりの変化はあったにせよ最後に自身の心に、かたくなな思いがあると感じていました。

人を信じられないのです。
自分を守ってもらえない、という気持ちでしょうか。

一言で言えば、
人を愛せない。

なつきは、無力感に襲われました。
落ちこみます。一週間ほど、何も手がつけられませんでした。
心配する友人にも、今の自分の心境をうまく説明できません。

眠れない夜は、パソコンのホームページを覗きました。
無意味に、ネットサーフィンをして過ごします。

しかし、無意識にそれらしきサイトを捜していました。
自分を変えてくれるサイトを。

掲示板やブログ、相談を受け付けてくれるサイト。
ぼーとしながらも、心に引っかかるところはしっかり読んでいました。
今の心境を打開したいという想いが、日増しに募りました。

つづく

付き合っている彼との距離を感じ始めたなつきは、別れ話を自分から切りだすことができず、その後も、我慢して付き合っていました。
しばらくすると、彼は暴言を吐き、なつきの人格を傷つけるような会話をし出しました。
そんな時、なつきは悲しいというよりも、頭の中が真っ白になり固まってしまいます。体が硬直してしまうのです。


彼の言葉が、受け付けられないのです。



なつきの女友達は「暴言って、どんな内容なの」と尋ねました。

「暴言を吐かれている時は、彼が何を言っているのかわからないの。
でも、冷静に彼と話している時に、彼はぽつんと言ったことがあるの。

俺って、なつきに対して悪い態度になってきているように思える。
なつきが、俺につくしてくれるから俺も優しくしなければ思うんだけど、なぜか言葉づかいが荒々しくなってしまうんだ」



その言葉に、なつきは返事ができませんでした。
そして、はっきりとした言葉にはしませんでしたが、元彼も次第になつきに対して粗雑になってきたことをフッと思い出していました。

「このままではいけない。何か行動しよう」
なつきは、本屋の女性コーナーや自己啓発の書籍をかたっぱしから手に取り、自分の悩みに答えてくれそうな本を捜しました。
さらに、占い師にも相談しに行きました。
ネット上でも、さまざまなサイトを覗きました。



数ヶ月後、なつきはある自己啓発セミナーに行き、対人関係の講義に参加しました。
ここでは一般的な対人交渉のスキルを学び、人と人の「一般的」な会話はどのようなものなのかを知ったことが大きな発見でした。

次に、ワークショップに参加しました。
数回にわたるグループワークで、なつきの発言が他人に対して批判的な方向へいく傾向があると、参加者から指摘されました。ものすごいショックでした。

幾つもの研修会を受講し、なつきは自身がネガティブな思考パターンがあるのではないかと思う節が見つかりました。
それで、彼に対しては意識して明るく楽しい会話をするように努めたのですが、会う毎に彼と一緒に居ることに疲れてきてしまいました。



連絡を入れるのは、いつもなつきだったのでメールをしなくなると2人の仲は自然消滅してしまいました。

つづく