なつきは、母親のことを思い出してみました。
現在、母親と父親は高齢になり仲良くふたりの生活を過ごしています。
たまに実家に帰ると、母親はなつきの好物を作って待っていてくれ、両親と静かでこころ落ち着く時間を過ごします。
会話は弾まず、お互いの近況報告をするだけですが、
まぁ、両親がぞれぞれ健康でいてくれることで良しとしよう、と考えていました。
そして、たまに帰宅することを親孝行のためだ、娘としての勤めだ、と義務感とも受け取られても仕方がない感情も持ち合わせていた事は否めません。
それにしても、幼少期の記憶が余りありません。
思い出そうとしても、なんだかボーとして、次に激しい拒絶がきます。
思い出したくない!
内から、そのような言葉が吹き出してくるのです。
何かある?
こころの扉を開けることを考えていると、ぶるっと震えがきました。
その日は、それでお終い。
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次の日、帰宅後にまたもネットサーフィンをしていて、あるブログに辿り着きました。
それは、ある男性のブログでした。何かの研修の体験記のようでした。
彼は、母親を嫌っていました。過去形です。
そして母親を嫌う自分が、嫌いなのだそうです。
小さいときにいたずらをし、母親からこっぴどく叱られました。
その後の言葉が、鮮烈でした。
お前は橋の下から拾ってきた子どもだ。
という言葉を、30歳になっても引きずっていたというのです。
この言葉に引きずられて長年、母親を恨んでいたとは、男性自身も、その研修をするまで夢にも思っていませんでした。

